あと1点…でも大収穫や! 阪神糸井嘉男外野手(35)が、リーグ戦再開後の活躍を期待させる9日ぶりの安打を放った。「日本生命セ・パ交流戦」最終戦の楽天戦は1点を追う9回、代打糸井の左太もも裏負傷後初となる右前打などで2死一、三塁の好機を作り、代打俊介が左翼ポール付近に大ファウル。逆転サヨナラ勝ちを期待した虎党の悲鳴が甲子園にこだました。結局チームは敗れ楽天3連戦に負け越したが、交流戦通算では10勝8敗。貯金を2つ増やして23日に再開するリーグ戦へ向かう。

 残り1アウトまで追い込まれたところで、虎に希望の光が差し込んだ。糸井が打った。9日ぶりにHランプをともした。

 金本監督 最後、今日勝てば良かったんだろうけど。1点も取れずというのはすごく悔しいけれどね。

 交流戦最終試合は楽天先発岸に要所を締められ、0-1の完封負け。ただ、9回裏の粘りは明るい兆しといえるだろう。

 1点を追う9回2死で代打大和が中前打。ここで糸井が代打で登場した。守護神松井裕から5球ファウルで粘って8球目。外角低めスライダーを右前にはずませた。左太もも裏を負傷して途中交代した9日ソフトバンク戦以来の安打。代打ではプロ通算17打席目での初安打を記録し、2死一、三塁に好機を広げた。最後は代打俊介が左翼ポール付近へ大ファウル。ゲームセットの瞬間まで、甲子園は熱気を帯びていた。

 岸に対しても無抵抗だったわけではない。8イニングで8安打を浴びせ、4イニングで得点圏に走者を進めた。ただ、4回1死二塁で7番糸原の二遊間のゴロを二塁藤田の好守に阻まれた。6回無死一塁では5番原口のセンターに抜けようかという痛烈ゴロを、再び藤田のダイビングキャッチに止められ、華麗なグラブトスで併殺を決められた。指揮官は「2回やられたんかな? まあ紙一重でしょうけどね」。この日はパ・リーグ首位楽天の守備力が一枚上だった。

 交流戦10勝8敗でフィニッシュ。金本監督は「全体的に見れば貯金2をプラスできた。そこは良しとしないと」と総括した。糸井がスタメンから外れた10日ソフトバンク戦以降の8戦は4勝4敗。苦しみながら耐え、首位広島とは3ゲーム差で依然射程圏内だ。

 リーグ戦が再開する23日からは、そのカープとの3連戦に臨む。指揮官は「いきなり広島ということで選手も十分、分かっていると思う。ゆっくり体を休めて、打つ方は調子を上げていかないと、本当に」と気合十分。ゆっくりする間もなく首位攻防戦が待っているだけに、糸井の快音は大きな収穫だ。【佐井陽介】