19日に全日程が終了した交流戦は、パ・リーグが通算56勝51敗1分けで、セ・リーグに8年連続勝ち越しを決めた。交流戦の検証と、リーグ戦再開後の展望を、日刊スポーツ評論家の谷繁元信氏(46)が分析した。

 シーズン折り返しを迎える6月の時点で、6チームが大型連敗を喫した。13連敗の巨人をはじめ、ヤクルト、日本ハムが2桁連敗を経験。現在Bクラスにいる全チームが、1週間勝ちのない6連敗以上を食らった。なぜ大型連敗が起こったのか? チームによって原因は違うが、しっかり分析し、今後に生かさなくては取り返すことはできない。

 エースの投げる試合で確実に勝つことが、上昇気流に乗せるための絶対条件だ。WBCを経験した巨人菅野は、開幕直後の3連続完封もあり、張り詰めた状態のまま交流戦に入った。強打の楽天、西武に大量失点して負けたのは、疲労のピークが当たってしまったのでは、と見ている。一方、同じくWBCで先発したロッテ石川の不調は、さかのぼって自主トレ、キャンプの調整に問題があったのではないか。菅野はコンディショニングの管理が大事になるし、石川は調整法の見直しが必要になってくる。

 話は連動するが、シーズン中盤以降は監督の「マネジメント能力」が特に問われると思う。優勝やCS進出の可能性がある以上、最後まで諦めないのは当然。しかし、セは3位以下、パは4位以下のチームにとって、逆転優勝を果たすには厳しい差が開いた。借金10を5割まで戻す場合、仮に1カード2勝1敗で順調に勝ち越していっても、5週間かかる。ゲーム差や力関係を客観視して、どこを目指して組み立てていくか。

 ギリギリまで優勝を狙うか。ホームでCSを戦える2位か。踏み込んで冷静に考え、来年優勝を目指すのか。それとも3年後にピークを持っていくチーム力なのか。明確にターゲットを定めれば、先発ローテを変更して追い抜きたいチームを直接たたく戦略を取れるし、育成の比重を高めた若手起用も選択肢として出てくる。監督が大局的な視点を持てれば、戦い方を大胆に変えることができ、順位も変わってくる可能性がある。