ラッキーなノーゲームだ。24日の広島-阪神戦(マツダスタジアム)は、阪神が2点を勝ち越された4回、なお2死一、二塁の劣勢展開で降雨中止となった。負ければ今季初の4連敗、首位広島と5差が開く大ピンチだったが、先発能見の5失点も梅野の捕逸も上本の失策もみ~んな記録に残らない。打球が外野のラバーの中に消える不運から大敗した一夜明けは、雨で黒星が消える幸運。ツキを生かして、今日こそ快勝だ!

 今年の広島戦は「何か」が起こる。今度は雨が虎の劣勢をかき消した。4回裏。2点を勝ち越され、なおも2死一、二塁で4番鈴木を迎えた。阪神は5失点の先発能見から藤川にスイッチ。これ以上離されると苦しい状況だ。だがここで雨はさらに強まり、グラウンドに水たまりが目立ち始めた。審判団は午後3時53分、試合中断を決断。1時間後も天候は回復せず、雨天ノーゲームが決まった。

 金本監督 4回で2点差はビハインドはビハインドですけど。9イニングで考えれば、そんなには…。

 指揮官はまだ戦い足りないと言わんばかりだった。シーソーゲームで戦況は3対5。打線は4イニングで6安打を放っており、逆転へ気持ちを高ぶらせていたのだろう。とはいえ雨はやむ気配なく、試合を再開しても5、6回で降雨コールドゲームになった可能性もある。「(ビハインドで)5回、6回に中断する可能性が高いんであれば、まあラッキーな部分もあるかもしれんけどね」。中止が決まった以上、プラスにとらえることも忘れなかった。

 前日の3連戦初戦は1回裏、1番田中の左翼フェンス直撃二塁打がラバーの中に消える珍事から大敗を喫した。だがこの日は、天が虎に味方してくれた形だ。

 雨を巡る因縁はちょうど1年前の6月24日にもあった。同じ交流戦明け広島3連戦の初戦。2点を追う9回表、無死一塁と反撃ムードに転じたところで雨天コールド負け。今回は広島側に悔しさが残る終わり方だけに、指揮官は「(今年は)逆やな」と前を向いた。

 金本監督 (2回の先制劇は)2アウトから。6、7、8番で2点を効率よくね。下位打線で点を取れたのはやっぱり大きい。ヒットは出ているんでね。あとはどこで打つか。 打線は前夜も11安打を放つなど活発。この日は2回2死から6番鳥谷が三遊間を抜き、7番糸原、8番梅野が2者連続で適時二塁打を記録した。左太もも裏を負傷していた糸井の先発復帰とともに、上昇気流に乗り始めた気配がある。ラッキーなノーゲームを生かすも殺すも次戦次第。4ゲーム差が3に縮まるか5に開くか。もちろん今日も負けられない。【佐井陽介】