広島鈴木誠也外野手(22)が同点の6回にしぶとく左前に落とす決勝打を放った。広島打線は若き4番を中心に今季30度目の2桁安打。球団最速での来場者100万人突破を勝利で飾った。貯金を今季最多タイ19に戻し、2位阪神とのゲーム差は今季最大の7・5。連覇へ向け、早くも独走態勢だ。

 内角の厳しい真っすぐに、鈴木は反応した。同点の6回無死三塁。中日バルデスが内角に投じた139キロ直球に腕をたたんでバットを振り抜き、左翼前に落とした。「2打席目にチェンジアップを振れたので、頭に(内角真っすぐが)ある中で行けた。あの打席もチェンジアップを待ちながらさばけた」。チェンジアップを多投するバルデスが、鈴木には執拗(しつよう)に内角を攻めてきた。1打席目は死球。内角を警戒する中で、2打席目にチェンジアップに反応できたことで、3打席目は冷静だった。詰まりながらも奪った決勝打に、鈴木は胸を張った。

 22歳の4番を中心とした広島打線が、中日の隙に付け込んだ。決勝打直前、丸が右翼線の当たりに中日松井佑がクッションボールの処理にもたつく間に三塁を陥れて好機が拡大した。2回は無死から死球の後、松山の二塁への打球を荒木が後逸。併殺コースが無死一、二塁となった直後にエルドレッドの3ランが飛び出した。7回も1点を追加し、なおも1死一、二塁で丸の二塁へのボテボテの当たりに前進した亀沢が体にも当てずに後ろにそらした拙守から試合を決定づけるダメ押し点を奪った。

 一方で、広島守備陣は球際の強さが光った。内野陣が好フィールディングを見せると、左翼松山もスライディングキャッチ。広島野球で貯金を今季最多タイ19に戻し、2位阪神とのゲーム差を7・5に広げた。球団最速での来場者100万人突破を勝利で飾り、ペナントレースを折り返した。緒方監督は「まだまだ先は長い。ファンの方が声援を送ってくれることで選手の力になっているし、マツダでの勝率にもなっている。カープの野球をまた明日からもやって行きたい」と約束。ファンとともに、連覇へのストーリーを紡いでいく。【前原淳】