オリックスのドラフト1位山岡泰輔投手(21)が西武打線を8回2安打無失点に抑え、6月4日巨人戦以来の3勝目。規定投球回数に到達し、防御率2・70で、ディクソン(2・99)金子(3・31)を上回りチームトップに躍り出た。6月にデビューしたばかりの助っ人マレーロも、来日初の2打席連続アーチで山岡を援護。ルーキーの快投で、オリックスが2カ月ぶりの月間勝ち越しを決めた。

 プロ初完封は、9回表の味方の無得点でついえた。4点目の援護があれば、山岡続投だった。2番から始まる打順もにらみ、石橋をたたいて福良監督は平野を救援に送った。それほど取りたかった西武との初戦。指揮官は8回無失点と好投したドラフト1位を「素晴らしかった」とねぎらった。

 「最初はどうなるかと思ったんです」と山岡。2回、味方の失策と2四球で招いた1死満塁の大ピンチで炭谷を145キロの速球で遊ゴロ併殺。この投球が3勝目への分岐点になった。東京ガス時代も含め、初登板のメットライフドーム。湿度の高さで他球場よりボールに指がかかる感覚を、1球ごとに自分のものにした。

 西武とは5月14日に初対戦。初回に3点を奪われ、6回4失点で敗れた。そこで直球とスライダーに頼っていた前回の組み立てを若月とのバッテリーで見直し。この日は序盤からチェンジアップ、カットボールと持てる武器を最大限に使った。「あのチェンジアップがよかった。前回との違いはそこ」と監督を喜ばせた。

 福良監督自身がほれ込み、昨夏の時点で早くも1位指名を決めた。球団内に創価大・田中(ソフトバンク)を推す声もあった中、監督は「即戦力ならNO・1」と判断。チームの主力からも「来年すぐに使える投手なら山岡君」の答えが返ってきた。戦略は吉と出た。先発の役目を山岡は果たし続ける。

 防御率2・70はチームトップ。「自分も目標にしてきたところ。(イニング数を)増やしたい」と笑った山岡。プロ入り後最速の150キロもマークし、西武菊池に投げ勝った。監督推薦の球宴組発表を3日に控え、「オリックス山岡」をアピールした。【堀まどか】