頭を張る男が、エースとしての役割を果たした。楽天則本昂大投手(26)が、完投で両リーグトップの9勝目を挙げた。台風3号の影響のため6回表終了降雨コールドとなった試合で、5回を2安打1失点に抑えた。前回登板の6月26日オリックス戦(Koboパーク宮城)に続く3連戦初戦の試合を託され、負ければ首位陥落の可能性もある、チームのピンチを見事に救った。

 スタンドには、かっぱ姿や傘を差すファンの姿があった。則本は、マウンド後方の金具を何度も手に取った。スパイクの裏には、すぐに土が挟まった。ZOZOマリン特有の海風に乗り、顔にも雨粒が襲いかかる。入念に足場を整え、4点リードの5回のマウンドに上がった。「マウンドはぬかるんでいた。でも、そこは相手も同じ条件なので。関係ない」。先頭中村には9球粘られたが、10球目、内角を襲うフォークで空振り三振。田村には、154キロ直球で外角ギリギリを突いた。サントスには、146キロ直球を外角低めに収めた。もはや“恒例”の3者連続三振だった。

 台風3号の影響で、試合開始直後から雨が降り出した。1点リードの初回こそ、34球を要すなど制球が乱れた。2個の四球が絡み、同点打を許した。満塁のピンチも背負ったが、2回以降は別人と化した。「真ん中でいいから振らしていこう」と決め、2回から5回まで4イニング連続の3者凡退。1人の走者も許さなかった。6回表終了後に、中断、コールドとなった試合でハーラートップの9勝目をつかんだ。「1回に満塁で1点に抑えられたから今日の勝ちがある」と完全にリセットした。