今季初スタメンの阪神坂本誠志郎捕手(23)が、金本監督の起用に応えた。4回にDeNA桑原の二盗を阻止すると、1点リードの5回1死一、三塁でスクイズを決め、追加点を呼び込んだ。6回には体を張ってファウルフライをキャッチするなどで勝利に貢献。原口を代打で起用するため、5日に「第3の捕手」として1軍昇格した男が数少ないチャンスを生かして株を上げた。

 必死だから泥臭く見える。今季初出場の坂本がボールに食らいついた。1点リードの5回1死一、三塁。DeNAが2番手藤岡にスイッチした直後の初球にスクイズを決めた。全力疾走の末、一塁上でDeNA石川と激突。グラウンドにたたきつけられながらも生き残った。この今季初安打が、貴重な追加点を呼んだ。

 坂本 そういうところで決めないとダメなので。次の1点が大事だったんで一発で決められてよかった。

 守備でも泥臭く、強肩とガッツをアピールした。4回2死一塁。スタートを切ったDeNA桑原を二塁へストライク送球で刺した。6回にはバックネット付近への飛球にダッシュ。フェンスにぶつかりながらもキャッチした。

 坂本 いつでも出られるようにしていた。(ケガで)出遅れてしまった。僕の居場所がなくなっていくので。

 オープン戦中に右手親指を骨折した。ギプスを付け、まともな練習ができなかった。それでも腐ることなく鳴尾浜でランニングや、左手だけで打撃練習をこなし、少しでもブランクを埋めようと努力した。

 大が付く甘党だ。チョコレートが好きで、大学時代はストックを切らさないようにしていたほど。母校の履正社が甲子園に出場した時は、自身のおすすめスイーツを差し入れる。「僕が甲子園に出場した時、宿舎で甘い物が食べられなかったんですよ。苦痛でした。他の人とかぶらないだろうし、甘い物を贈るようにしています」。もちろん後輩からは喜びの声。グラウンド以外でも、捕手らしい気遣いを見せられる男だ。

 原口の代打機会を増やすため、5日に1軍昇格を果たした。立ち位置は「第3の捕手」。数少ないチャンスを、さっそくモノにした。矢野作戦兼バッテリーコーチは「梅野とかと、もっと高いところで勝負してほしい」と奮起を促した。これからも、がむしゃらなプレーで食らいついていく。【山川智之】

 ◆坂本誠志郎(さかもと・せいしろう)1993年(平5)11月10日生まれ、兵庫・養父市出身。養父小1年から「養父カープ」で野球を始める。履正社では1年夏からベンチ入り。甲子園には2年夏と3年春に出場。明大では主将も経験した。15年ドラフト2位で阪神に入団。昨季28試合に出場して打率2割、1本塁打、2打点。176センチ、79キロ。右投げ右打ち。