金本阪神が巨人との伝統の一戦で連夜の完敗を喫し、首位広島とのゲーム差は今季最大の9に広がった。先発能見が初回に3失点すると防戦一方で、藤川ら救援陣も打ち込まれて14安打8失点。打線も初回に福留の内野ゴロの間に1点を取るのがやっとで、走者を置いての適時打なしは18イニングにのびた。最短18日にも自力優勝が消える。このままズルズル行くのか、猛虎の意地を見せてくれ!

 今季最多の観衆、4万6791人の声援がむなしく響いた。金本阪神が投打ともに精彩を欠いた。5位巨人に連日の完敗。これで広島に9ゲーム差をつけられた。その背中はすっかり遠くなった。早ければ、18日の広島戦で自力優勝の可能性が消滅する。開幕からの奮闘を考えれば、予想外の失速だ。

 負の連鎖はとうとう投手陣にも及んだ。これまで貧打線を支えてきたが、蒸し暑い甲子園で疲労の蓄積がうかがえた。先発能見が制球に苦しみ、初回に3点を失った。連投の藤川も押し出し四球を含む3失点。登板した4投手全員が得点を許した。金本監督は疲れの影響を問われ、「そう思いますけどね」と険しい表情を見せた。伝統の一戦で、2戦13失点。投手陣が踏ん張れなくなってきた。

 攻撃陣も相変わらずの低迷だった。初回に鳥谷、上本の連打でチャンスを作ったが、クリーンアップが二ゴロ、二ゴロ、中飛で1点を奪うのが、やっと。これでは反撃ののろしも上がらない。片岡打撃コーチは「なんと言ったらいいか…。得点圏で勢いがつかない」と嘆いた。終盤に見せ場はあったが、得点にはつながらず、スタンドからもため息がこぼれた。2戦連続の「スミ1」では勝てない。

 我慢の姿勢を貫いてきた指揮官だが、手詰まり感はある。「打開策があればいいんだけど、鳥谷を1番に入れたり、大山を入れたりしているが、すべてがうまくいくかと言えば、なかなかそうはいかない」。現有戦力では、一向にチーム状態は上向かない。打線のテコ入れがカンフル剤にならない状況に陥った。もはやロジャースだけが頼みの綱か。その新助っ人も最短合流は球宴明けになる。リベンジを誓った広島にやすやすと連覇を許すのか。せめてもの意地が見たい。【田口真一郎】

 ▼阪神は最短で、81試合消化の18日に自力優勝の可能性が消滅する。今日9日から18日まで阪神が5連敗、広島が6連勝と仮定。阪神は19日以降の全62試合に全勝しても、最終成績は102勝41敗で勝率7割1分3厘。広島が同じ期間の阪神戦残り12試合に全敗しても、他球団との46試合に全勝すれば、102勝40敗1分けで7割1分8厘となり、阪神を上回るため。なお昨年の阪神の自力優勝消滅は、83試合を行った7月8日。