ツヨシ復帰で締まって行くぞ! 阪神西岡剛内野手(32)が15日、甲子園で行われた全体練習に参加した。1軍合流は左アキレスけんを断裂した昨年7月20日の巨人戦以来、約1年ぶりだ。守備で遊撃など3ポジションをこなすと、フリー打撃でも快音を連発。今後の起用法はまだ固まっていないが、金本知憲監督(49)はベンチの引き締め役としても期待した。選手生命の危機から脱した男が、逆転優勝の切り札になる。

 西岡が1軍本隊に帰ってきた。左アキレスけん断裂の大ケガから1年。シャープに絞った体でグラウンドに登場。投内連係では一塁を守り、その後はセンター、遊撃と3ポジションをこなした。フリー打撃では左打席で20スイング中、安打性は6本。右打席で20スイングで8本と鋭い打球を連発した。走塁練習も行い、フルメニューを消化。まだ出場選手登録されていないこともあり、報道陣に対応することなく、クラブハウスに引き揚げた。

 後半戦は本拠地で首位広島との3連戦でスタートする。8ゲーム差をつけられ、逆転優勝には厳しい状況にある。そんな中、西岡の合流は逆襲の原動力になる。選手起用の選択肢が広がるが、金本監督の言葉は慎重だった。「(選択肢が)広がるのは広がるけど、経験のないポジションが多いから。ファーストにしろ、内野にしろ。簡単にポンと使えるかというのは、難しい話かもしれない」。起用法についても、「まだ見えてこんね。流動的になってくる。ポジションにしろ、打順にせよ、スタメンになるにせよ。孝介の休みを入れていかなあかんし、ロジャースがどこまでか見えてこないし、ちょっとこれは難しいよ」と話すにとどめた。ウエスタンでは、21試合で打率3割6分5厘を記録したが、故障明けで多くを背負わせるのは、再発にもつながる恐れがある。

 それでも、グラウンド内外で大きな影響を与える存在だ。ムードメーカーであり、チームの流れを変える力がある。指揮官は言った。「盛り上げるだけじゃなく、ピリッとさせるものを持っている」。片岡打撃コーチも「走攻守は、もちろんだけど、それ以外のプラスアルファもある。みんなが疲れてきたところで起爆剤で期待しています」と続いた。貧打にあえいだ6月の8連敗では、苦境を打開できなかった。西岡はそんな状況を打破できる。逆転優勝の切り札として、17日の広島戦で甲子園に帰還する。【田口真一郎】

<西岡復帰の道のり>

 ◆負傷 昨年7月20日巨人戦(甲子園)の走塁で左アキレス腱(けん)を断裂。26日に手術を受けた。

 ◆2軍発進 今年2月のキャンプでは、安芸のリハビリ組に参加。初日から坂道ダッシュ、ノック、マシン打撃をこなした。

 ◆実戦復帰 5月30日、ウエスタン・リーグ(以下2軍と表記)のソフトバンク戦(タマスタ筑後)に4番DHで実戦復帰。第2打席で右前打を放ち、故障後、初安打を記録した。

 ◆復帰アーチ 7月5日、2軍ソフトバンク戦(タマスタ筑後)で右腕小沢に対し、左打席から復帰後初本塁打を放った。

 ◆1軍合流 2軍戦で21試合に出場し、打率3割6分5厘、1本塁打、7打点。7月15日、1軍練習に合流した。