巨人に新風が吹いた。ドラフト2位ルーキー畠世周投手(23)が、中日15回戦(ナゴヤドーム)でプロ初勝利を挙げた。1回表に阿部の犠飛、陽岱鋼の3号3ランで4点の大量援護を受け、7回1/3を7安打2失点に抑える好投を見せた。山口俊投手(30)が飲酒の上でトラブルを起こした疑いで、前日18日の先発登板を回避したばかり。ショックが続くチームに明るい話題をもたらした。

 けれん味のない投球で勝負を挑んだ。畠が胸元のグラブで力強く弧を描いた。打者に突き出してから、一気に左脇に引き込む。一拍置いて、しなりを利かせた右腕を振り下ろす。中日打線に序盤から140キロ台後半の直球を多投した。「ど真ん中でいいから、しっかりと(直球を)投げてやろう、という気持ちだった」。無心のままに思い切り投げ込んだ。

 こだわった直球が威力を発揮した。初めて得点圏に走者を進めた7回1死一、二塁。藤井を直球2球で追い込むと、3球目はクイックモーションからスライダーで見逃し三振を奪った。6回までストライク先行の強気の投球で、わずか62球でまとめた。逃げずに度胸満点の直球勝負が潮目での変化球を効果的にした。降板後の9回にカミネロが、1点差に迫られるもプロ初勝利をつかみ取った。「絶対に抑えてくれると信じて応援していた」と、デビュー戦だった6日広島戦で逃した念願のウイニングボールを手中に収めた。