阪神の命綱が切れた。5回まで2点リードで勝っていた。「継投逃げ切り」。大観衆も思い描いたシナリオは、脅威の赤ヘル打線に書き換えられた。前半戦から敵に立ちはだかった「必勝リレー」が崩壊した。攻めの継投策も実らない。

 首位広島は、わずかなミスも見逃してくれない。金本監督は開口一番、絞り出した。「ピッチャーがああなってね。マテオがピッチャーゴロを捕れたかどうか(の差だった)」。同点に追いついた直後の8回、勝ちパターンのマテオを投入する。先頭の4番鈴木の打球は当たり損ねのゴロがマウンド付近へ。だが助っ人右腕は捕れず、内野安打にしてしまった。

 一向に改善されないフィールディングの失敗を土壇場で露呈。1死一塁で、新井には初球の152キロ速球をとらえられた。右中間を破られる勝ち越し適時二塁打から崩落…。瞬く間に3連打を浴びてタオルを投げ込まれる。1死しか奪えず、4失点。来日ワーストの結果に「次に切り替えてやっていくよ」と話した。同点だった8回は悪夢の8失点。猛打にのみこまれた。

 前半戦を支えた好調の桑原も傷ついた。6回、先発小野が3連打されると、指揮官が動く。左腕高橋が松山に四球を与え、新井には桑原を投入。だが、直球をとらえられ、中堅に同点犠飛を許した。7回も続投したが、田中に中前へ勝ち越し適時打を浴びた。「失点していることがダメなので…」。19試合連続無失点で止まり、5月24日巨人戦(甲子園)以来の失点。刀折れ矢尽きた。徒労感だけが残った。【酒井俊作】

 ▼阪神が広島に14点を奪われ、チーム防御率が3.32となって、3.29の広島に抜かれてリーグ2位に転落した。今季の阪神投手陣は広島との開幕3連戦で大量失点して3連戦後の防御率は5.81だったが、その後巻き返し、4月末には2点台へ。巨人と1、2位を争い、5月13日に阪神が2.88で1位に躍り出た。そこからはリーグ1位をキープ。6月半ばの交流戦終了まで2点台を守ったが、交流戦明けの広島戦(6月23日)で13失点し再び3点台に。いずれも広島戦での大量失点が響いている形だ。