中日岩瀬仁紀投手(42)が節目を好救援で飾った。3点差に詰め寄られた8回2死二、三塁で登板し、田中を直球3球勝負で空振り三振。マツダスタジアム今季7戦目でチームを初勝利に導いた。通算945試合登板として、金田正一を抜いて単独2位に浮上。米田哲也の史上最多949試合まで、あと「4」だ。

 田中が戸惑ったように出したバットは空を切った。直球、直球で追い込んでからの3球目。岩瀬が投げた136キロの「直球」は手元で鋭くスライド。カットボールの軌道で逃げていく球に、巧打者といえどもついていけなかった。

 「結果的に(3球)ですけどね。早く勝負しないと、1球で状況が変わってしまうので」。

 7回から投げていた又吉が8回に1点を失い、3点差。なお2死二、三塁。これまでチームはマツダスタジアムで6戦全敗。投手陣がことごとく打ち込まれ、岩瀬自身も前回2日に負け投手になっていた。

 異様なムードの中、全力で腕を振った。初球142キロ見逃し、2球目は143キロ空振り。最近では珍しい140キロ台連発に、友利投手コーチは「状況が分かっているから143が出た。勝負どころをよく分かっている」とうなった。

 代打攻勢が予想される下位までは又吉を引っ張り、左の田中で岩瀬投入のシナリオ。長年、抑えに固定されてきた通算403セーブ左腕は「そういう(複雑な)展開でしたけどね。中継ぎには入っていると、いろいろ適応しないといけない」。戦況を見ながら、田中攻略に備えていた。

 マツダスタジアムでやっと初勝利。森監督は「たまには勝つんじゃない。(打ち合いは)うちの勝ち方じゃないんじゃない」と軽くほほえんだ。助っ人勢が派手に活躍する中、「逃げ切り」を演出した岩瀬も間違いなく主役だった。登板数で2位に立ち、大記録まで残り4試合。存在感が日増しに高まってきた。【柏原誠】