曇天を切り裂く豪快なアーチが、チームを救った。楽天ジャフェット・アマダー内野手(30)が、同点の9回に2戦連発の13号ソロを放ち、サヨナラ勝ちを決めた。終盤まで2点を追う劣勢の上、負傷交代したペゲーロと岡島を欠く中、1発攻勢で3戦連続の逆転勝ち。貯金を球団史上初の「30」に乗せた。

 雨はやみ、曇り空から一筋の光がこぼれた。文字通り、明るい兆しだった。同点の9回先頭。オリックス西は、マウンド上でぼうぜんとした。アマダーは、豪快にバットを投げ出した。右翼中段に着弾した白球を見届け、グッと手をたたいた。高め146キロ直球を完璧に捉えた。本塁で待ちかまえるナインから大量のシャワーを浴びせられた。「毎日、チームの勝利のために頑張っている。いくか分からなかったけど、入ってくれて良かった」と2戦連発の1発は、来日初のサヨナラ弾となった。

 試合開始前から雨が降りしきった。空模様と同様、打線も湿りがちだった。7回まで3安打無得点。2点ビハインドだった。もやもやの劣勢を、島内が、晴れやかにした。8回2死一塁から、スライダーを振り切った。右翼スタンドのギリギリに届く同点弾に、球場が一気に沸いた。「入るとは思わなかった」。不安になりながら、ダイヤモンドを1周した。前日3打席連発をマークし、2戦で4発のアマダーと、1番島内の1発が、爽快な風をもたらした。