虎が崖っぷちに追い込まれた。首位広島との直接対決で追い上げも届かず、1点差で敗戦。最後は守備妨害をとられてのゲームセット…。信じられない幕切れに金本監督は抗議に出たが、実らなかった。11ゲーム差とコイの背中が遠くかすむ。今日2日に負けるか引き分けで、自力優勝の可能性が消滅する。

 幕切れは突然だった。1点を追う9回表1死一塁。2番上本が空振り三振に倒れたが、一塁走者の西岡が盗塁に成功した。しかし、審判がアウトを宣告。上本が捕手の送球動作を妨害したためだ。球場全体が歓喜に沸く中、金本監督が抗議に出た。「外の球なので、(体が)出てしまうでしょ?」。流れの中の動作で、意図的ではなかった。それでも、杉永球審は「(捕手と)接触している。偶然であろうと故意であろうと、守備妨害になる」と説明。指揮官はぶぜんとした表情でベンチに引き揚げた。

 「審判の判定だし、ベンチから見えなかったけどね。説明されたら、リプレー(検証)をできるわけでもないし」

 判定は覆ることなく、ゲームセット。広島とのゲーム差は今季ワーストタイとなる「11」。今日2日に引き分けか負けると、自力優勝の可能性が消滅する。絶体絶命の危機に立たされた。

 先発岩貞が立ち上がりに苦しみ、4回までに4失点。敵地マツダスタジアムであまりにも重いハンディを背負ったが、反発力は見せた。7回に1点差とし、あと1歩のところまで迫った。しかし首位との直接対決で、もはや善戦は意味をなさない。金本監督は満足するはずもなかった。

 「何ていうのかな。この球場の流れというか、どこのチームも勝てていない。流れが悪いというか、そういう雰囲気はある。でも、自分たちで打開していかないと」

 8回には先頭の鳥谷が四球で歩いたが、続く大和がバント失敗。代打伊藤隼が併殺打という最悪の結果になった。広島はこの日で主催試合は36勝13敗と無類の強さを発揮する。追い上げても、追い越せない難しさがあった。

 阪神も敵地では5連敗になった。今日2日の先発はルーキー小野に託す。DeNAの結果次第では、広島に優勝へのマジックが点灯する。指揮官は「また明日、がんばりましょう」と自ら会見を切り上げた。ペナントレースの灯を消さないためにも、死力を尽くすしかない。【田口真一郎】

 ▼阪神は今日2日にも自力優勝の可能性が消滅する。阪神が広島戦に●なら、残り50試合に全勝しても、最終成績は99勝44敗で勝率6割9分2厘。広島が3日以降の阪神戦残り9試合に全敗しても、他球団との対戦に36勝1敗なら、98勝43敗2分けの6割9分5厘で阪神を上回る。同じく2日に阪神が広島戦△のときも、阪神が残り50戦全勝しても広島が他球団との全37試合に全勝なら、阪神を上回る。