大熱投で、巨人に4年ぶりの10勝トリオを誕生させた。田口麗斗投手(21)が、今季最多127球の2失点完投劇で2年連続の10勝目を挙げた。12勝でチーム勝ち頭の菅野、10勝のマイコラスに次ぐ3人目の2桁勝利投手の誕生は、球団では13年の内海(13勝)菅野(13勝)杉内(11勝)以来。高卒4年目以内の2年連続2桁勝利も桑田以来。「田口」の名を、伝統の球団史に刻んだ。

 汗だくになって粘り抜いた。4回1死二塁から鈴木に特大2ランを浴びて先制を許した。しかし松山とエルドレッドを打ち取り追加点を許さない。「移動ゲームなので、先輩を助けられるように長いイニングを投げたかった」。5回に6点、6回にも3点の援護を受けると照準を完投に定めた。最速143キロと走った直球を軸に、怖がらず打者の懐をえぐった。今季3完投目に「へとへとです」と充実感を漂わせた。

 前しか見ない成長欲で、早くも昨年の勝ち星に並んだ。9勝目直後の今月上旬。投球練習で、人知れずセットポジションのグラブ位置をへその前から胸の前に引き上げていた。「思いつきで上げました。もっと(投球を)よくしたいから。全部のレベルを上げたいので」。直前までの成績は9勝2敗、防御率2点台前半と申し分ない。それでも現状維持をよしとせず、進化する方法を模索していた。

 田口 フォームを変えることは怖くない。リリースポイントさえ決まっていれば何でもいいし、引き出しは何種類あってもいいと思う。もっとよくなれると思っているから、思いつきでも、やってみるんです。

 4年目を迎えた左腕には、チームを背負う責任感と尽きない向上心が宿る。敵地での3連戦初戦を奪い、3位DeNAとのゲーム差を3に縮めた。「(10勝目を)今日で決められてよかった。さらに勝ち星を増やして、貯金を伸ばしたいです」。若い力でチームを底上げする。【松本岳志】