特大弾にざわつく周囲と同様、4番中田の負けん気も刺激された。「目の前で、あんな強烈な本塁打を打たれたら気合が入った」。カウント2-2からの5球目。142キロ直球を右翼ポール際へ運んだ。2試合連発となる14号ソロだ。「自分が狙った球ではなかったけど」と、本当は大谷と同じくフォークにロックオンしながら、反応で仕留めた。チーム102試合目で、今季初の「平成のON」によるアベック弾が生まれた。通算9度目の競演で、優勢の試合にダメ押しした。

 試合後のベンチ裏も、久々に笑顔があふれた。大谷は、8回にボークの判定で激高したマーティンに近寄った。「マーティンのために打ったよ」と、笑いながら話しかけた。チームの勝利を欲していた助っ人右腕が作り出した不穏な空気も完全に一掃。まだ打撃の状態は悪いと自己評価する大谷だが「投打ともに、しっかり状態を上げて残り1カ月、頑張りたい」と気を引き締め直した。

 中田も大谷も、今季は故障や不振に悩まされてきた。大谷は開幕直後に左太もも裏を肉離れ。中田も右股関節を痛めた。その舞台は、ともに京セラドーム大阪だった。痛い目に遭った因縁の地での2者連弾。栗山監督は大谷の特大弾に「久しぶりに翔平らしかった。大谷翔平いたんだ」と、冗談めかして喜んだ。中田の本塁打にも「翔もだいぶ良くなっているよね」と目を細めた。

 救援陣も踏ん張っての勝利で連敗を6で止めた。指揮官は「残り41試合、こういう試合をしていかないといけない」と話した。遅まきながら大阪で見せた快勝劇。下位に沈んでいようが、最後まで、この雰囲気を継続させていくだけだ。【木下大輔】

 ◆中田&大谷の同日アーチ 今季初で通算9度目。大谷が2年目だった14年7月5日ロッテ戦(QVCマリン)が最初で、大谷が誕生日に2本塁打を放ち、中田も初回に3番大谷に続く2者連続アーチを放った。2者連続本塁打は、16年8月27日西武戦(西武プリンスドーム)の9回に大谷が代打アーチを放った後、4番中田が続いて以来、通算4度目となった。