内向的な選手が目立つオリックスの中で、奔放なキャラクターは異彩を放つ。球宴に監督推薦で出場。「とことん楽しんで、全員と話をする」と目標を定めた。日本ハム大谷からフォークを教わり、ソフトバンク千賀にはスライダーを教えた。世間話も含め、可能な限り交流を深めた。

 ビジターの先発前日は、チーム宿舎で静かに休息する投手が大部分。ただ山岡はしばしば外に夕食に出掛ける。「これまでの習慣を打破しようかなと思って」。登板当日に報道陣に話しかけられる球界のタブーも嫌がらない。自然体でいるのが山岡流。投手としての才能はもちろん、長年低迷するチームの“色”を変える可能性も感じさせる。

 チーム内の勝ち星は金子、ディクソンに次ぐ6勝目だが、防御率3点台前半の安定感は、もはやエース級の内容。初の9回完投で規定投球回にも再到達。球団新人で達成なら06年平野以来となる。172センチの小柄な右腕は言った。「こんなにうまくいくことない。ここは忘れて、また1イニングずつ」。この切り替えの早さも大きな武器だ。【大池和幸】

 ▼山岡がプロ初完封で6勝目。新人の完封勝利は両リーグを通じて今季初めてで、オリックス新人の完封は06年8月3日平野以来、11年ぶりになる。この日の山岡は10三振を奪い、与えた四死球が0。新人が2桁奪三振で無四死球完封は14年10月1日石川(ロッテ)以来となり、ドラフト制後(66年以降)は5人目。オリックスの新人としてはドラフト制以前を含め、球団史上初の快挙だ。