虎が痛恨の敗戦を喫した。中日23回戦(甲子園)で接戦を落とし、連勝は5でストップ。首位広島とのゲーム差が6・5に広がった。それでも、逆転Vをあきらめるはずがない。明日5日からの広島3連戦に向け、金本知憲監督(49)は「やるだけです」と言葉に力を込めた。奇跡の扉を開きに、敵地マツダスタジアムへと乗り込んでいく。

 決戦を目前に、猛虎が詰めの甘さを見せた。ヤクルト、中日の下位チームとの戦いで6連勝ならず-。勝てる可能性があっただけに、痛恨の敗戦になった。金本監督は険しい表情を崩さなかった。「いい試合もあったし、今日みたいな試合もあった。そこはもろさ、チームの未熟さだと思う。そこをしっかり立て直していかないと」。広島が勝ち、6・5ゲーム差に開いた。6連戦を5勝1敗でも、良しとはしなかった。

 嘆いた未熟さは、7回にあった。1死で中日の5番福田がライナー性の打球を放った。上本はグラブを出したが、その下をすり抜け、中前に転がった。指揮官はこのプレーに怒りをにじませた。「あれはもう体でいかないと。負けられない試合で、同点でね。そういう守りには見えない。しようがない。そういう選手を使ってますから」。6回裏に福留の適時打で同点に追いついたばかりだった。本拠地で、しかもリリーフの力を考えれば、流れは自軍に傾いたかに見えた。しかし、この上本のプレーで再び流れは相手に移った。

 8番武山にセンターフェンス直撃の二塁打を打たれ、勝ち越される。中継に入った遊撃植田が本塁への送球をためらい、2点目も許した。日本ハムからウエーバーによる「選手契約の譲渡」で緊急獲得したメンドーサを先発投手として送り出した一戦で、勝利の女神はほほ笑まなかった。

 奇跡の逆転優勝を実現するには、1つの敗戦が命取りになる。負けられない試合にどう臨むか。気迫のこもったプレーをナインに求め、チームを引き締めるために指揮官は厳しい言葉を投げかけた。明日5日からの広島3連戦(マツダスタジアム)で鯉の優勝マジック点灯を阻止するには、3連勝しかない。厳しい状況には変わりないが、「やるだけです」と短く言った。

 それでも、まだ光はある。この日は糸井、福留が力強い打撃でマルチ安打を記録した。2人とも広島戦には強い。対抗できる要素は十分にある。3連勝で奇跡を起こす-。まだまだ、戦いはこれからだ。【田口真一郎】