またも18歳が大型連敗を止めた。楽天のドラフト1位、藤平尚真投手が日本ハム戦で自己最長の7回を1安打無失点に抑え、プロ2勝目をマーク。6回までノーヒットノーランペースの快投で、10連敗中だったチームの危機を救った。高卒新人がチームの2桁連敗を止めるのは61年の大崎(大洋)と徳久(近鉄)以来、56年ぶりの快挙。前回登板も連敗を6で止めており、梨田昌孝監督(64)から先発ローテーション入りの太鼓判を押された。

 「こういう試合が、勝たないといけない試合。1点を与えたら流れがいってしまう」。藤平は7回無死二塁、直球をコーナーに6球散らしてからスライダーを沈めた。日本ハム大谷から2つ目の空振り三振。続く中田、レアードと中軸を打ち取り、1点のリードを守りきった。

 6回まで許した走者は四球1つ。「頭の片隅にはあった」ノーヒットノーランが7回先頭の二塁打で消えても、集中力は切れなかった。「大谷さんがすごい選手というのは理解してます。でも1対1の、ピッチャーとバッター」。昨年まではテレビ画面で見るだけだった、日本を代表する強打者。4回1死で三振を奪った外角直球が、109球のベストピッチになった。

 まさに救世主だ。プロ初勝利を挙げた8月22日のロッテ戦で、チームの連敗を6で止めた。今回は1分けを挟み10連敗。球団創設05年のワースト11連敗に並ぶところだった。梨田監督は「投げるたびに成長している。チームが苦しいときに…。素晴らしいのひと言」と1安打8奪三振投球を絶賛した。

 スタミナと修正能力の高さを証明した。初回はマウンドの軟らかさに苦戦して25球を要した。2回以降、歩幅を広げることで踏み込む左足を固定。自己最長の7回を投げきった。これまでは先発後に出場選手登録を抹消されていたが、梨田監督は「前回と今回で証明してくれた。球数もある程度いける。次は外さない」とローテ入りを明言した。

 高校野球の名門・横浜でエースを張った男は、先発投手の意義をこう理解している。3日、ソフトバンク戦で9回2死まで無失点投球を続けたエース則本を見て思った。「あの姿は絶対チーム(の浮上)にきっかけを与えた。今日、自分が投げたことで、バッター陣に何らかの手応えができたらいいと思います。次はここから連勝していけたら」。連敗の重圧に勝ち、全体の士気を考えられる。高卒1年目にして、将来のエースの器を備えている。【鎌田良美】

 ◆藤平尚真(ふじひら・しょうま)1998年(平10)9月21日、千葉県富津市生まれ。大貫中時代は千葉市シニアでU15日本代表。横浜では3年夏の甲子園に出場し、2回戦で履正社に敗退。16年ドラフト1位で楽天入団。185センチ、85キロ。右投げ右打ち。