新・神ってる男がまた打った。広島安部友裕内野手(28)が5回2死一塁、左中間へ勝ち越しの適時三塁打を放った。2位阪神を相手に3連勝を決める殊勲打。緒方監督が今季の推しメンに挙げる男の活躍で、2年連続のクライマックスシリーズ(CS)進出を決め、リーグ連覇へのマジックを8とした。最短の優勝は12日。いよいよゴールが見えてきた。

 広島がまた風を吹かせた。同点に追いついた後の5回2死一塁。勢いに乗った安部は阪神秋山の内角フォークをすくい上げた。強引になることなく、華麗に逆方向へ。打球は飛び込んだセンター中谷のグラブの先を抜けた。安部は快足を飛ばして一気に三塁へ。滑り込んでド派手なガッツポーズを決めた。「本当にうれしかった。自然と出た」と満面の笑みで表現した。

 劣勢をひっくり返した。先発ジョンソンが不調で1回に3点を献上。1回の攻撃中に雨天による25分の中断も挟んだ。集中力を保つのも難しい展開。安部は2回1死からチーム初安打となる安打を右翼へ。田中の2ランで1点差に迫った後の4回には先頭で左翼へ二塁打を放っていた。そして勝ち越しの三塁打。「一番だめなのは三振。逆方向しかないと思った」と頭の中を明かした。

 「攻撃こそ最大の防御。最後まで攻めて勝つ!」。選手サロンに置かれたホワイトボードに似顔絵付きで石井打撃コーチが書いた言葉だ。これまでと違うのは、吹き出しの主。これまでは河田外野守備走塁コーチのイラストが書かれていたが、その上から松山の顔写真が貼られ「マッちゃんの今日の一言」と書かれていた。柔らかく、雰囲気に乗せて有言実行。攻撃陣の結束力が試合でも出た。

 いちるの望みを持ちマツダスタジアムに乗り込んだ阪神をやっつけた。チームは6連勝で貯金は32。優勝へのマジックは一気に8まで減った。2年連続のCS進出を決め、連覇へもカウントダウンだ。緒方監督は「独特のムードのなかで後押しを受けて、選手も乗せられるように、チャンスでたたみ掛ける攻撃が出来ている」とうなずいた。追い風がビュンビュン吹いている。【池本泰尚】

 ▼広島がオール逆転で阪神に3連勝。広島の逆転勝ちは両リーグ最多の今季37度目。45度の逆転勝ちを記録した昨年の広島は、オール逆転の3連戦3連勝が6月17~19日オリックス戦しかなかったが、今季は4月11~13日巨人戦、5月2~4日中日戦に次いで3度目だ。これでマツダスタジアムでは43勝17敗1分け、勝率7割1分7厘。今季も本拠地で強く、昨年マークした本拠地球場49勝の球団記録にどこまで迫るか。