ソフトバンク工藤公康監督(54)が、涙の2年ぶりV奪回だ。マジック1で迎えた西武22回戦(メットライフドーム)で圧勝し、球団はパ・リーグ18度目、1リーグ時代を含めると20度目のリーグ優勝を飾った。

 試合の最後を締めくくったのはソフトバンクの守護神デニス・サファテ投手(36)だった。セーブ機会ではない6点リードの中で志願の登板。連続試合セーブ記録はリーグトップタイの17試合でストップしたが、個人記録など、どうでもよかった。3安打を浴び、2失点したが、そのままリードを守り、ウイニングボールを王球団会長に手渡した。

 「2点取られたが、今までで一番悔しくない2点。最後しっかりアウトを3つ取れて良かった。去年の借りを返せたのはうれしい。より強いチームとなって帰ってくることができた」

 今年はまさにフル回転の1年だった。前人未到のシーズン50セーブ台に突入し、現在も51セーブで記録を更新中。今季セーブ機会での救援失敗は1度だけ。工藤監督も「将棋で言えば王手の駒」と言い切るほど、絶対的な信頼がある。

 結果もさることながら、自身のことだけを考えない人柄もあり、求心力も人一倍だ。今年8回を任されたセットアッパー岩崎には配球術についてアドバイスを送る。公私ともに仲のいい森にも抑えとしてのやりがいや大変さを伝えている。

 チームの将来を考え“後継者の育成”にも尽力しているが、もちろん、当分はユニホームを脱ぐつもりなどない。「これからもセーブを重ねていって、グリーンジャケットを着たいね。毎年12月にハワイにゴルフをしに行きたいんだ」。現在、歴代5位の通算226セーブ。通算250セーブが資格の名球会入りを夢見る助っ人は、シーズンMVPの堂々の候補だ。【福岡吉央】