中日ドラフト4位の笠原祥太郎投手(22)が、プロ初勝利を挙げた。プロ最長の8回を2安打無失点。代打を送られた8回に味方打線が決勝点を奪い、待望の勝利をつかんだ。この日は「The 総力戦」と銘打たれた今季最後の「FC(ファンクラブ)スペシャルゲーム」。監督や選手と同じ企画ユニホームを身にまとったファンが集まったナゴヤドームが、新たなヒーローの誕生に歓喜に包まれた。

 プロ16戦目で3度目の先発。ようやく白星を手にした。「コントロールが良くないので今日は大胆に腕を振っていった」と割り切った。6回2死から4番阿部に右翼フェンスギリギリまで打球を飛ばされた。「終わったかと思いました」と冷や汗も、力強い直球を投げきり、得点は許さなかった。守護神の田島からウイニングボールを受け取り「(新潟県の)実家に送りたい。勝ったよ、と言いたい」と白い歯をこぼした。

 昨年の10月、新潟県の大学からは初のドラフト指名を受けた。「誰にも負けないと思うために」と、大学のチームメートと「最強」と言い合った。この日のグラブにも「最強」の2文字が刺しゅうされている。巨人打線に三塁を踏ませない投球は、最強にふさわしい快投だった。

 森監督は「ちょっと荒れているところと素晴らしいカットボールとチェンジアップが要所で決まっていたから、向こうも的を絞れなかったのかな。今日のところは素晴らしい内容」と大絶賛した。来季の浮上にまた楽しみが増えた。【宮崎えり子】

 ◆笠原祥太郎(かさはら・しょうたろう)1995年(平7)3月17日、新潟市生まれ。結小2年のときに荻川スポーツ少年団で野球を始める。新津二中、新津高と投手。高3の夏の県大会は2回戦で敗退。新潟医療福祉大に進み、2年秋の群馬大戦でノーヒットノーランを達成。4年の春季リーグでは6勝、防御率0・72で最多勝、最優秀防御率を獲得し、ベストナインにも選ばれた。177センチ、85キロ。左投げ左打ち。