下克上日本一へ再出発の一戦で、虎が完封負けを喫した。巨人23回戦(甲子園)で菅野の前に打線はわずか2安打。三塁を踏めず、0行進のまま屈した。クライマックスシリーズでも対戦する可能性のある相手だけに何ともイヤ~な敗戦だが、秋に再戦すればやり返してくれるはず。まずは2位をがっちり確保し、下克上ロードを突き進んでみせる。

 あまりにも寂しい再出発だった。猛虎打線が巨人菅野の前に、今季ワーストタイの2安打と沈黙した。三塁ベースも踏めず、8月27日巨人戦以来となる完封負け。相手エースは最終回でも直球は150キロ以上を計測。スライダーも抜群のキレ味で、攻略できる雰囲気はなかった。今季4度の対戦で、対戦防御率は1・74。2得点するのが、難しい状況になっている。簡単に打てる投手ではないが、金本監督はナインに高い意識を求めた。

 「打てなかった、いいピッチャーだった。ハイ、終わり、では成長はないから。そのうち、打てるだろうでは、絶対に打てませんよ」

 就任以来、好投手をいかに打つかを説いてきた。菅野だから、とあきらめていては進歩はない。「特に若い選手、中堅の選手はこういうピッチャーを打つための練習というか、それを目標にしてやってほしいと思う。他のピッチャーを楽に感じるから」。日々の取り組みから、打倒菅野をイメージする必要がある。

 広島のリーグ連覇が決まった翌日の19日に全体練習でのこと。異例の円陣で指揮官は「優勝はなくなったが、2位を確保しよう。気持ちを切り替えて、やっていこう!」とナインを鼓舞していた。次なる目標として、下克上による日本一を掲げた。虎は残り試合で6勝すれば巨人、DeNAに追いつかれることはないが、仕切り直しの一戦でつまずいた。巨人はCSファーストステージで対戦する可能性がある。エース菅野を攻略できなければ、前に進めない。

 金本監督は言う。「今日、試合に出た選手はボールを見ているわけだから。あのスライダーをどうやったら、見逃せるか。スライダーがストライクゾーンにきたら、どうやって打つか。それを目標にしてやってほしい」。再戦の時が来れば、必ず越えなければならない壁になる。指揮官はナインの反骨心を信じた。【田口真一郎】