4度目の正直で決めた。西武野上が9回を4安打無失点に封じ、プロ9年目で初完封。過去3度、8回までゼロに抑えながら最終回に1発を浴びており「最後はホームランがよぎってました。とにかく低めに投げていこうと。内心ホッとしました」。ポーカーフェースを装いながらも、安堵(あんど)感をにじませた。

 得点圏に走者を背負ったのは1度だけ。最速147キロの直球にチェンジアップ、フォークを効果的に交えての快投だったが「岡田のリードが良かった」と女房役へ感謝した。明るいキャラクターの中にのぞかせる、後輩思いの顔。菊池が2段モーション問題で新フォームに苦心している時は「軸にしっかり乗れば大丈夫」とひと言かけて支えた。この日もオリックス山岡と新人王を争う「源田のためにも負けられないので」。そしてお立ち台では「高橋光成もよろしくお願いします」と、今日24日に約4カ月ぶりに先発する右腕へのげきを忘れなかった。

 登板順の変更が多々あった中で、先発ローテを守り続ける。チームの連敗を3で止めた自身4年ぶりの2桁10勝目。今年結婚した梨華夫人も見守る前で気合の110球を見せた。「まだシーズンは終わっていない。CSもある」と力強く前を見据えた。【佐竹実】