さあ「甲子園CS」の相手はDeNAだ。巨人25回戦(東京ドーム)で阪神金本知憲監督(49)が勝利に徹する采配で連勝を呼び込み、宿敵を11年ぶりBクラスに沈めた。広島に勝ったDeNAの3位&クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ進出も決定。本拠地甲子園で14日に開幕する同ステージでDeNAをきっちり倒し、その後はカープ撃破、そして日本シリーズ制覇へと下克上ロードを突き進んでみせる。

 胸のGマークを相手に、消化試合はなかった。2位確定から一夜明けても、金本監督は打倒巨人に全力だった。休養の福留をのぞき、現在のベストメンバーを先発に記した。6回からは継投に持ち込み、桑原-マテオ-ドリスの勝ちパターンを投入。7回表無死二塁では、上本が自発的にバントを試みたが、進塁打のサインを出していた。貪欲に1点を狙い、1点を守ろうとした。

 金本監督 最後の巨人戦でこっちも全力でいこうということだったので、その通り、勝利の方程式、勝ちパターンの継投でいった。

 4位に沈んだ就任1年目は、広島と巨人に大きく負け越し、力の差を見せつけられた。この2チームにいかに接近するかが今年の課題だった。今季も巨人に10勝13敗2分けと勝ち越せなかったが、最後の2連戦を連勝した。しかも巨人はCS進出に望みを残し、総力戦を仕掛けてきた。それでも2試合とも、終始、試合の主導権を握った。「勝てば、良しとして。ドリスも多少、不安を残した感じだが、勝てたのでよかった」。長年のライバルからはどんな状況でも勝たなければならない。指揮官は猛虎の使命を従い、巨人に引導を渡した。

 これでCSファーストステージは3位DeNAを甲子園に迎えることが決定した。金本監督は「相手がどこでも一緒ですから。うちがちゃんとした野球をするだけ」と静かに闘志を燃やした。対戦成績では勝ち越しているが、甲子園では6勝7敗と拮抗(きっこう)している。今永、浜口、石田ら左腕を3勝7敗と苦手とし、ウィーランドも本拠地で0封された過去がある。だが、そんなデータや過去に屈するつもりなど毛頭ない。「一発勝負なので、状態のいいチームが勝つでしょう」。個々の相性は参考にするが、対戦成績はあくまで結果に過ぎない。真っ正面からねじふせ、未来を切り開くだけだ。

 優勝を逃した瞬間から、金本監督は下克上による日本一達成を目標に掲げた。初戦となる14日に向け、いかに戦力を整えるか。残り2試合を甲子園で戦えるのは大きい。「CSに向けて、いい調整がしたい。それだけ」。順位争いの日々は終わった。指揮官の視線は、最終決戦に移った。【田口真一郎】

 ▼阪神は今季DeNA戦に14勝10敗1分けと勝ち越しており、中でも先制した試合は10勝3敗と勝率7割6分9厘を誇った。先制を許した試合では4勝7敗1分けで勝率3割6分4厘。先手を奪った試合での有利さは際だつ。ブルペンを支えた救援投手3人のDeNA戦防御率は、桑原1.17、ドリス0.75、マテオに至っては0.00。3人を合わせた対戦防御率は0.63で、対セ球団では断トツの成績。先制点を挙げて試合を優位に進め、阪神の誇るリリーフ3投手につないで逃げ切りたい。