阪神は8日、今岡真訪(まこと)2軍打撃兼野手総合コーチ(43)が今季限りで退団すると発表した。同コーチは来季、ロッテの2軍監督に就任する見通し。退団に際し、金本知憲監督(49)への「感謝」の思いを明かした。15年10月、金本監督に請われて入閣。6年ぶりにタテジマ復帰し、若手強化に携わった。今季20本塁打を放った中谷らの成長を後押し。かけがえのない2年間を振り返った。

 わずか2年でタテジマのユニホームを脱いだ今岡氏は、真っ先に「盟友」への思いを口にした。阪神再建を目指す金本監督に請われ、15年秋から2軍で指導してきた。自ら球団側に退団を申し入れ、指揮官も快く了承したという。今岡氏は「金本さんのおかげで、今回、阪神のコーチをさせていただいて感謝しています」と語った。

 この日、球団から退団が発表された。来季はロッテの2軍監督に就任する見通し。今岡氏が東洋大でプレーした当時、同じ東都大学リーグの青学大で良きライバルだった井口のロッテの新監督就任が決定的だ。同い年で、96年アトランタ五輪では二遊間を守って銀メダルを獲得。10年から3シーズン、ロッテでチームメートとなり、お互いの夢を語り合う親友だ。「井口ロッテ」に呼ばれる可能性もあるため、愛する阪神を去る決意を固めた。

 鳴尾浜で若手と接し、かけがえのない日々を過ごした。グラウンドでは、決して多くを語らず、厳しい目線で勝負に徹する。早朝から選手の言動に目を配り、特に全体のウオーミングアップから、選手の雰囲気を見抜き、熱意を感じ取ってきた。今季、チーム最多の20本塁打を放つ中谷や代打で活躍する伊藤隼らは、徹底指導した愛弟子だ。陽川も2軍で球団史上最多の21本塁打を放った。若手を鍛え上げ、成果を挙げた。

 金本監督は2軍スタッフも頻繁に食事に誘い、円滑な意思疎通を図っていた。今岡氏も「一方的にやらせるのではなく、こちらの意見にも聞く耳を持ってくれた。非常にやりやすかったです」と振り返る。

 金本と今岡。現役時代の03年と05年はともに看板打者としてリーグ優勝に導いた。当時も「金本さんに、ものすごく影響を受けた」と話していた。野球観を分かち合い、ともに指導者としてグラウンドに立った。「金本監督のもとで学んだ2年間を生かしたい」。胸にたぎらせる情熱は誰よりも強い。金本阪神で育んだ指導哲学をもとに、今季最下位に沈んだロッテ再建に全力を尽くす。

 ◆今岡真訪(いまおか・まこと)1974年(昭49)9月11日、兵庫県生まれ。PL学園-東洋大から96年ドラフト1位で阪神に入団。03年首位打者(3割4分)05年打点王(147打点)で両年のリーグ優勝に貢献。09年オフにロッテへ移籍し12年引退。通算1309試合、1284安打、122本塁打、594打点、打率2割7分9厘。野球解説者を経て16年から阪神2軍打撃兼野手総合コーチ。186センチ、83キロ。右投げ右打ち。