復活の秋だ! 阪神高山俊外野手(24)が、特大の初球先頭打者アーチを放った。みやざきフェニックス・リーグの西武戦(南郷)に1番中堅で出場。1軍CS出場を経て合流後のファーストスイングに、リベンジの思いを込めた。昨季の新人王は今季、「2年目のジンクス」に見舞われ大不振。だが売り出し中のドラフト1位の後輩、大山悠輔内野手(22)に負けじと、秋は実戦漬けで復活を期し、プライドを取り戻す。

 うっぷんを晴らすような一撃だった。プレーボールのコールが掛かった直後。高山が西武田村の真ん中の初球、143キロをフルスイングした。打球は右翼席後方の防護ネットに直撃。推定130メートルの特大弾となった。

 DeNAとのCSファースト・ステージを終えて18日に宮崎入りしたばかり。合流して最初の試合で駆けつけ即アーチ。しかも1球目を決めていたようにたたきつぶした。

 「……」

 試合後はコメントすることはなかったが、期するものがあったに違いない。プロ1年目に136安打を放ってリーグ新人王に輝いた男は、今季地獄を見た。打率は2割5分。ヒット数も82安打と2桁に。夏場には2軍落ちも経験した。CSでも見せ場なく尻すぼみ。本来のスイングを見失い、迷いの中でバットを振る…。「超変革」の申し子が、もがいていた。

 気持ちを代弁したのは浜中2軍打撃コーチだ。「悔しいシーズンだったと思う。だけど競争はもう始まっている。ここからがスタート。高山には気持ちを入れ替えろとハッパも掛けた」。誰がどう見ても超一級の素材。将来、チームを背負うはずの男が、ここでくすぶっていては困るのだ。

 高山再生へ試合漬けプランも実行に移される。チームは24日から甲子園で秋季練習をスタートさせる。宮崎組の中谷、大山、植田も帰阪して参加予定だ。だが、高山は宮崎に残留。残り全試合スタメン出場する。山田2軍監督代行は金本監督の意図をくみ取り「生きた球で感覚をつかんでほしいということだと思う」と、説明した。

 ドラフト1位の1年後輩、大山はCSで打率5割3分8厘と打ちまくり、来季は一層の飛躍が期待される。この宮崎では4番に固定され、「4番道」をたたき込まれている。弱肉強食のプロ野球界。スキを見せれば、居場所はすぐになくなる。絶対に見返す。宮崎の地で打ち上げた特大弾が、復活ののろしだ。【桝井聡】