DeNAのシンデレラボーイが、一塁ベース上であどけない笑顔を浮かべた。1点リードの4回。2死一、二塁で代打で登場したのは、プロ1年目の19歳細川だった。広島大瀬良の初球。141キロのカットボールを、センターへはじき返すタイムリーを放った。「チャンスだったので初球から甘い球がきたらフルスイングしようと決めていた。チームの役に立ててホッとしています」。またしても記録的ヒットを放った。

 CSの大舞台、5打席目にして初安打初打点は、未来の主砲の大きな1歩になる。高卒新人選手のプレーオフでのタイムリーは、11年ヤクルト山田以来史上2人目の快挙。前日まで、1点差の攻防を制してきたDeNAにとってリーグ覇者・広島を突き放す貴重な追加点をもたらし、ラミレス監督の大抜てきに応えた。

 リーグ戦ラスト2試合で連続本塁打を放ち、一気にCSメンバー入りまで駆け上がった。1軍帯同となってから、小川打撃コーチとマン・ツー・マンの付きっきりで指導を受ける。「毎日、必死。でも本当に充実しています」。母校・明秀学園日立では弟拓哉(2年)が兄を追いかけ投打で活躍。「負けてられない」と見守る弟が秋季関東大会1回戦で3失点完投、打っても1安打2打点で初戦突破。セ・リーグ最終決戦で19歳の未来の主砲が輝き、ビール掛けは輪の外から見守った。【栗田成芳】