清宮よ、ぜひとも来てくれ! 阪神金本知憲監督(49)が怪物スラッガーに熱烈ラブコールを送った。阪神は25日に都内のホテルでスカウト会議を開き、今日26日午後5時から行われる「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」で早実・清宮幸太郎内野手(3年)を1位指名することを確認した。最大で7球団の競合となりそうだが、スカウト会議に出席した指揮官は「会社を挙げて、ぜひとも」と加入を願った。

 

 道半ばの「超変革」に、怪物スラッガーはどうしても必要な存在だった。ドラフト会議を翌日に控え、都内のホテルでスカウト会議を開いた。1位は不変だ。プロ入り表明で真っ先に公言した通り、早実・清宮を指名する。出席した金本監督は魅力を問われ、即答した。

 「数字そのものです。100何本打っていて、体も強そうだし、柔らかさもある。とらえる技術もある」

 歴代最多となる高校通算111本塁打を記録した打撃を絶賛。将来の4番候補という問いかけに、「でしょう」と迷いはなかった。

 15年は明大・高山、16年は白鴎大・大山と周囲の予想に反し、野手の1位指名に踏み切った。「超変革」を実現するためには、生え抜きの野手を育成することが必須条件。その考えが指揮官にはあった。今オフは先発投手補強が最優先事項に挙がるが、球団は清宮を別格と位置づける。金本監督は言った。「会社を挙げて、ぜひとも」。坂井オーナーを始め、タイガースの総意として清宮の加入を熱望した。

 この日の会議では、1位指名のシミュレーションも行われた模様だ。指揮官は清宮の競合を「6か7球団ぐらいの予想ですけどね」と話した。その言葉どおり、ドラフト前日の段階で7球団の指名が予想される。

 元より大争奪戦は覚悟の上。2年前にはヤクルトとの競合で高山を引き当てたが、気負いはない。験担ぎは「特に…。言いません」とはぐらかした。当時は左手で当たりくじをゲットしたが、「分からん。社長が行ってくれないかな」と苦笑交じりで本音を漏らした。さすがの鉄人も運だけはどうにもできない。自然体でドラフト会議に臨む姿勢だ。

 3年連続の野手1位指名は球団史上初。猛虎ファンの清宮はやはり甲子園がよく似合う。V奪還を狙う阪神にとっても、運命の1日だ。【田口真一郎】

 ◆15年ドラフト会議での金本監督 阪神とヤクルトの2球団が、明大の好打者高山俊に1位入札。金本監督は真中監督と一騎打ちとなった。金本監督は左手でつかんだ封筒を離し、別の封筒を選び直した。開封と同時に真中監督が、満面の笑みでガッツポーズ。それを見て金本監督は開封せず席に戻ったが、真中監督が同会議のマークを見て「当たり」と勘違いしたことが判明。阪神の交渉権獲得が分かり、今度は金本監督がガッツポーズ。「ビデオ判定の逆転ホームランでしたね」と振り返った。