プロ野球ドラフト会議が今日26日に開催される。BCリーグ新潟の2選手には、球団初の支配下登録選手指名の期待がかかる。左サイドの渡辺雄大投手(26)と主砲の纐纈英騎(こうけつ・としき)内野手(23)だ。4年目の渡辺雄は中継ぎ、抑えで46試合に登板し、防御率1・29で最優秀防御率のタイトルを獲得。ともにセ、パ複数球団がリストアップ。人事を尽くした今、運命の時を待っている。

 「そわそわすると思います」。運命の瞬間を前に、渡辺雄の心境はマウンドで見せる冷静さからはほど遠い。それだけ指名を心待ちにしている。

 今季の防御率は目標だった1点台をマークしてタイトルに輝き、16セーブもリーグ3位。加藤博人監督(48)の「50試合くらいは投げてもらうつもりだった」という方針通り、46試合に登板した。「やれることはやった」と中継ぎ、抑えとして抜群の安定感を見せつけた。準備は整った。

 新潟はこれまで育成ドラフトでは指名選手を輩出しているが、支配下登録選手の「本指名」はゼロ。貴重な横手左腕には即戦力としてソフトバンク、巨人など複数球団が目をつけている。渡辺雄は「もちろん(本指名)受けられればうれしい」。同時に「育成でも行く」。プロ入り最大のチャンスを逃す気はない。

 「中継ぎ中心でやるつもり」と、磨いてきた武器をアピールする。最速143キロの直球とスライダー、ツーシームなど変化球は4種類。左打者の内角、右打者の胸元を突き、コーナーに投げ分ける制球力がある。昨季までは、ほぼ左打者専門だったが、今季は右打者相手でも登板。1、2回を抑え切るようになった。

 同じ左腕投手でヤクルトなどで活躍した加藤監督、楽天時代に好打者でならした草野大輔野手総合コーチ(40)、捕手出身の加藤健球団社長補佐(36=元巨人)と、首脳陣がそれぞれの目線でアドバイス。その手ごたえは「より実戦的な投球ができるようになった」(渡辺雄)と数字が示す。加藤監督も「1軍で勝てる投手になれる」と太鼓判を押す。

 青学大2年の秋に「特長を出したかった」と、スリークオーターから横手に変えた。大学で公式戦登板はなかったが、卒業から4年目で実を結ぼうとしている。「プロに入れたら1年目から結果を出したい」。遅咲きの左腕は、すでにプロで戦う心の準備もできている。【斎藤慎一郎】

 ◆渡辺雄大(わたなべ・ゆうた)1991年(平3)9月19日生まれ、三条市出身。中越では3年時に背番号1。青学大に進み、14年にBC新潟に入団。昨オフはオーストラリアのウインターリーグに参加した。あこがれの選手はメジャー303勝左腕のランディ・ジョンソン。186センチ、85キロ。左投げ左打ち。