超高校級スラッガーが北の大地で勝負をかける。史上最多の高校通算111本塁打の早実・清宮は、高校生最多タイの7球団競合の末、日本ハムが交渉権を獲得した。「清宮ドラフト」ともいわれる中、東京・国分寺市の同校には51社150人の報道陣が集結。メジャー も夢見る大砲は自らの運命を受け止め、栗山監督のもとで進化を遂げる。

 規格外の怪物も、運命を決めるドラフトは特別だった。清宮は、ドラフト会議のテレビ中継を野球部の和泉監督、国定部長、母幸世さんと見守った。午後5時21分、日本ハムの木田GM補佐がガッツポーズ。全球団の1位指名が確定した同5時45分、会見場に現れた清宮は日本ハムのイメージを聞かれ、主砲の中田、二刀流の大谷ら、高卒で日本を代表する選手に進化した先輩の姿を浮かべた。

 清宮 素晴らしい選手が育っている印象。育成に力を入れているなと思いますし、今まで以上に成長できる環境に入れる。いいチームだなっていうイメージがあるのでうれしいです。

 指揮を執るのは、規格外の大谷の二刀流を実現させた栗山監督。指揮官にもまた、好印象を抱いた。「采配もサプライズが多いなと。枠にとらわれないのがすごく好き。いい監督に巡り合えた」と笑顔。荒木2軍監督、斎藤は早実の先輩で「“早稲田の血”ではないですけど、見習っていければ」と話した。振り返れば、12年の巨人-日本ハムの日本シリーズ。北砂リトルで世界一を達成した清宮は、東京ドームで始球式を行った。「今思えば、あの時から縁があったのかなと思います」と、はにかんだ。

 「清宮ドラフト」ともいわれ、高校生では95年福留孝介(現阪神)以来、史上最多タイの7球団が競合した。「あれだけ、たくさんとは思っていなかった。光栄に思っています」と恐縮しながら、「数うんぬんより、ここからが勝負」と気を引き締めた。ドラフト会議前日は寝付けず、この日も朝から「ソワソワした」と初々しかったが、ドラフト会議前の国語、数学、英語の試験は「普段通り、大丈夫です」とクリア。「人生最初で最後の日を楽しめた」と心に焼き付けた。

 この日も、将来の夢を「メジャーリーガー」と宣言したが、今は日本ハムで活躍すること以外、頭になかった。「高校野球では111本という記録を残したが、(プロでは)まだ何も成績を残していませんし、全く別の世界。『清宮、全然ダメじゃないか』と言われるのは嫌。『清宮なくして、今のチームはない』と言ってもらえるように貢献したいです」と決意を込めた。ソフトバンク王球団会長の868本塁打の大志を抱き、北の大地で代名詞の放物線を描く。【久保賢吾】