大学の部は、今大会限りで勇退する高橋昭雄監督(69)率いる東洋大(東都大学)が、原沢健人内野手(4年=前橋工)の大会タイ記録の1試合2発などで富士大(東北3連盟)に7回コールド勝ちした。星槎道都大(北海道2連盟)は、大会初勝利で準決勝進出を決めた。高校の部は、静岡(東海・静岡)が大会初勝利を挙げ、創成館(九州・長崎)とともに初の準決勝進出を決めた。

 東洋大・原沢が勇退する高橋監督への恩返し弾を放ち、チームを準決勝進出に導いた。5回に左翼席へソロ本塁打、6回にも左翼席に2ラン。持ち前のパワーは元ラグビー選手で、オーストラリア人の父親譲り。大会タイ記録の1試合2本塁打に「うれしいです」と声を弾ませた。大会最多本塁打は、青学大・井口(現ロッテ監督)らの3本で「頑張ります」と意気込んだ。

 恩返しの思いが、能力を開花させた。1年春から先発起用されたが、今春までノーアーチ。指揮官には「怒られてばかりです」と頭をかいたが、今秋リーグ戦の初アーチから覚醒し、社会人のSUBARUに内定した。「監督に恩返ししたいです。日本一で終わってもらえるように頑張りたいです」と決意を込めた。苦労人の活躍を喜んだ高橋監督は「最後だから、いい野球をして終わりたいね」とほほ笑んだ。【久保賢吾】