今秋のドラフト会議で野手最多タイとなる7球団が競合した日本ハムのドラフト1位早実・清宮幸太郎内野手(18)が16日、東京都内の明治記念館で仮契約を結んだ。高卒野手としては上限の、契約金1億円プラス出来高払い5000万円、年俸1500万円(推定)。最高評価を受けた18歳は、球界の常識を覆す投打二刀流で成功した大谷翔平投手(23)を引き合いに「自分も信念を貫きたい」と、言葉に力を込めた。

 高校生野手としては異例の最高評価で日本ハムとの仮契約を終え「1歩1歩、プロ野球選手になっていっているという自覚が湧いた」と感想を口にした清宮は、金びょうぶを背に、プロ選手としての理想像を切り出した。

 清宮 いろいろな方に愛され「清宮みたいになりたい」と言われる選手が目標。自分を信じて、やっていけたら。

 頭には、思い描く先人の姿があった。高卒からわずか5年目でメジャー挑戦を表明した大谷だ。投打二刀流で成功し、球界の常識を覆した背番号11に、未来の自分を重ね合わせた。

 清宮 二刀流で新たな道を作った。いろいろな人にいろいろなことを言われたと思うんですけど、何があっても貫き通してきた。誰も成し遂げなかったことをする姿はすごく魅力的で、刺激を受けた。僕も、大谷選手のように、誰に何を言われようと、自分で決めた目標や信念を貫きたい。

 野球選手を目指した時から、本塁打には強いこだわりがあった。日本ハムでは、同じように高校時代からホームランバッターとして注目を浴びてきた中田との共闘が期待される。「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)やプレミア12のチャンスでの勝負強さは、見ていて格好良かった」とほれぼれする一方で「まだまだ、1つも(中田に)勝っている部分はないんですけど、(打球の)飛距離だったり、本塁打の数では負けないようにしたい」と、強烈なライバル心ものぞかせた。公言しているソフトバンク王球団会長のプロ野球最多本塁打記録への挑戦、そして将来的なメジャー挑戦と、夢を貫く覚悟を決めた。

 年明けに2軍施設の千葉・鎌ケ谷で始まる新人合同自主トレへ向けて、現在はプロの世界へ飛び込むための土台作りに励む。「ウエートトレーニングは夏場より多くやっているし、しっかり走っています」。背番号は、今月末の入団会見で発表される見通し。5年前、東京ドームでの楽天戦(12年6月27日)で始球式に登板した際に、栗山監督から「プロ野球で待っています」とコメントが入ったボールを手渡され、以来「ずっと自分の机の上に置いてあった。運命を感じています」。運命の場所で「日本ハム清宮」の物語が、始まる。【中島宙恵】