楽天の育成選手を含む新入団10選手が5日、仙台市内の泉犬鷲寮に入寮した。初めて寮生活を経験する者もいれば、前所属から寮生活の者もいる。十人十色のグッズを持って集結した。4年ぶりに東北の高卒支配下で指名されたドラフト6位の西巻賢二内野手(18=仙台育英)は愛くるしい「プーさん」の人形を持参。選手10人の愛用品を、写真とともに紹介する。【取材・構成=高橋洋平】

 4年ぶりに東北の高卒支配下で指名された西巻は、意外にもおちゃめだった。愛用している「プーさん」人形を寮に持ち込んだ。学法石川で野球を続けた兄光二さん(23)の練習見学に訪れた小1の時から携行している縁起物だ。「持っているといいことばかりある。不思議な力を持っている。手放したら不幸なことが起こるんじゃないかと思っちゃうぐらい」と力説した。一方で「ぬいぐるみにも寿命があるんですかね」と、年季が入って汚れが目立つ「プーさん」を心配する一面も見せた。

 入寮して気が引き締まった。「楽しみな気持ちでいっぱいですけど、これからどういう生活が待ってるんだろう、という不安はある」。9日からは新人合同自主トレが始まった。練習前には4日に亡くなった星野仙一球団副会長に黙とうをささげた。2月から始まる沖縄・久米島キャンプに備え、汗を流す。

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 ◆1位・近藤弘樹投手(22=岡山商大) 最速153キロ右腕は昨年12月23日に出身の母校広島・安佐北の激励会で読まれた両親からの手紙を持参した。「文面は両親が考えたと思う。母は淡々と読んでて、泣いてなかった。結果で返すことが恩返しになる」。寮は則本、松井が使用した出世部屋の2号室を割り当てられた。

 ◆2位・岩見雅紀外野手(23=慶大) 同じ滋賀出身の先輩則本からテレビを譲り受けた。昨年11月23日のファン感謝祭で対面し「『テレビは買わなくていいよ』と言ってもらった。気に掛けてもらえた」。部屋は同じ東京6大学の早大OB茂木が過ごした9号室に決まり「いい気があると思って頑張りたい」と意気込んだ。

 ◆3位・山崎剛内野手(22=国学院大) DeNA柴田からプレゼントされたグラブを持参した。大学の先輩で、当時は二遊間を組んでおり「かわいがってもらっていた」。同学年の松井は高3夏前の招待試合で2安打した。「まぐれです。レベルアップできるように。そこに向けてアピールしたい」と前を向いた。

 ◆4位・渡辺佑樹投手(22=横浜商大) 山梨出身で、12カ月すべて富士山の写真が納められているカレンダーと、大学の恩師に当たる佐々木正雄監督の書籍を寮に持ち込んだ。地元の世界遺産、富士山は車で5合目までしか登ったことがないが「山梨県唯一のプロ野球選手として頑張っていきたい」と胸を張った。

 ◆5位・耀飛(あきと)外野手(21=関西・兵庫) 田中姓が複数いる関係で、名前のみの登録となった。ゴールドジムの筋トレ用ベルトが愛用品で、181センチで95キロもある。「自分は打撃が持ち味。それを発揮できたのは、日々のトレーニングの成果が原点。お守りみたいなもの(笑い)」と説明した。

 ◆7位・寺岡寛治投手(25=BC・石川) 投手専念わずか1年で最速155キロまで到達し、プロのひのき舞台を勝ち取った男は卵形の照明で光を差す。九州共立大卒業後に所属した九州三菱自動車の同僚からプレゼントされたもので「暗くなった時につけたりして、みんなの顔を思い出したい」と語った。

 ◆育成1位・井手亮太郎投手(21=九産大) 乃木坂46の熱狂的ファンで、白石麻衣の写真集「パスポート」が愛蔵品だ。2冊あるうちの未開封を持ってきた。地元福岡の幼なじみからもらったサングラスをしながら封を解き「乃木坂ファンの松井さんと、いつかはトークをしてみたい」と胸を躍らせた。

 ◆育成2位・松本京志郎内野手(18=光南) 野球部の仲間からもらった打撃用手袋と寄せ書きを持ってきた。だが、それ以上に注目を集めたのは素朴な福島弁とその言動だ。入寮の感想は、と問われ「白かったです。今まで住んでいた実家よりも明るく感じた」と珍解答で切り返した。打撃と言動の両方で注目だ。

 ◆育成3位・中村和希外野手(22=天理大) 自身のプレー写真が組み込まれた目覚まし時計を、大学の後輩からプレゼントされた。「朝は携帯電話のアラームで起きるんですけどね」と苦笑い。年末年始は筋トレに集中し、2キロ増の77キロまで増量した。「覚悟を決めてやらないと」と気を引き締めた。