阪神金本知憲監督(49)が、福留孝介外野手(40)の3番起用構想を温めていることが17日、分かった。打順を早くすることで、少しでも早いイニングで途中交代させられる利点がある。昨季も休養を与えてパフォーマンスを発揮しやすい環境を整えたが、よりきめの細かい配慮でシーズンを通しての活躍を引き出す。今季は新外国人ウィリン・ロサリオ内野手(28=韓国・ハンファ)の4番が決定的。プロ20年目を迎えたベテランが脇を固め、エネルギーを満たしながら戦う。

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 長丁場を見据えた金本監督の思惑が浮き彫りになった。チームが勝っていくためにも、ベテランの奮闘は欠かせない。指揮官が胸中に温めていたのは「福留3番」のプランだ。

 「孝介なんかも、できるだけ早い打順にしたら、早く代われるしな、1イニングを守らず。5、6番よりは3番くらいの方が早く休ませることができる」

 金本監督の構想で固まっているのは、新外国人ロサリオの4番起用だ。次は、その前後に誰を据えるか。チームの得点力に直結するだけに「分からん、打順は、ホンマに。見てみないとな、いろんな絡みがあるから」と熟慮する姿勢だが、福留に関して初めて具体的な打順を示唆した。

 福留は今季が日米通算20年目。開幕直後の4月26日には41歳を迎える。3番案は、そんなベテランの体力回復を考慮したものだ。早く打順が巡れば、試合終盤の早いタイミングで福留に代走や守備固めを投入できる。少しでも体への負担を軽くするタクトだ。

 昨季の福留は「休養→猛打」の法則があった。先発を外れた試合の次戦は18試合で68打数20安打、2割9分4厘。6本塁打を量産し、チームも11勝6敗1分けとプラスに働いた。金本監督も「休みを入れるとスイングが違う。休ませどころはこちらの判断になるが、よく見極めてやってあげたい」と目を細めるなど、効果的だった。

 3番は熟練の打撃を求められる。1、2番の得点圏への進塁をアシストするほか、自ら走者をかえす打撃も必要。福留は昨季の得点圏打率2割9分と安定し、適役だろう。実際に昨季終盤、指揮官は「孝介は3番が合っている気がする。3番の方がハマりがいいし」とも話し、優勝争い佳境の9月5日からの広島3連戦(マツダスタジアム)で3番に置いていた。

 金本監督は今季も福留を休ませながら起用する方向で、「見ながらやな。去年みたいにヘロヘロになっていたら、かわいそうで。見ていたら。暑いのが多いからな、いまの夏。俺は(現役)当時、好きやったけどな、暑いわ、いまは…」と思いやった。福留を生かす手綱さばきがチームの浮沈を左右する。【酒井俊作】