裸一貫、100%の再起を目指す。巨人山口俊投手(30)が25日、今年初めて川崎市内のジャイアンツ球場で自主トレを実施。2月1日から宮崎市内で始まる春季キャンプへ汗を流した。FA移籍1年目の昨季は右肩違和感で3軍スタートだったが、今季は1軍同行が決定。昨季は暴力トラブルもあって厳しい目が向けられるが、キャンプ初日から最高の状態で結果を残すと意気込んだ。

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 覚悟が見えた。気温2度のジャイアンツ球場室内練習場。山口俊は力強く腕を振った。約20メートルのキャッチボール。どっしりと仕上がった体から放たれた白球は糸を引くようにグンと伸びた。体重は104キロ。毎年のシーズンインと同じ状態に仕上げ「新人と同じような気持ちで2月1日から100%で入りたいと思います」と話した。

 言葉に緊張感がにじんだ。ケガと暴力トラブルがあり、不本意な年に終わったFA移籍1年目。それでも斎藤投手コーチら首脳陣の期待は高く、初の1軍キャンプを勝ち取った。「結果を出すだけです。チームは若返りを図っている。そこで生き残るのは結果だけだと思っている」と言い切った。

 発想の転換をした。沖縄、鳥取で行った自主トレ。「セオリーと違う発想をした」と変化球は低めに集めるという常識を、あえて高めへ変化球を投げることを追求した。「ゴロを打ちにいく野球からフライを打ちにいく野球に変わっている。スイング軌道もここ2、3年で変わっている」と分析。すでに8回ブルペン入りし、約800球投げ、フォーム固めを進めている。

 リスクを負う。「抜けたら怖いし、投げミスもダメ」と高めの球は間違えれば長打につながりかねない。しかし、ストライクゾーンからストライクゾーンへ変化する軌道ならば、カウントも整えられる。また打者の目線に近い分、落差と食い込むような印象を与えられるとした。「カットボール、スライダー、シュート、落ちる系、しっかり投げ切れれば」と配球の新しい可能性を探している。

 身も心も真っさらな状態からの再スタート。「見据えるところは開幕。シーズンを通して1軍で放るのが目標」と意気込む。生き残るには結果を示すしかない。まずは2月1日に100%の状態を見せつける。【島根純】