ヤクルトの走塁改革が進行中だ。春季キャンプ(浦添)第2クール最終日の12日、「スチール攻防」という新メニューが加わった。バッテリーと二盗を試みる一塁走者の“攻防”。打者不在でバッテリーが圧倒的有利のため、結果は二盗を21回試みて成功は5度。だが、この日に重視していたのは成功率ではなかった。

 新メニューの提案者でもある河田外野守備走塁コーチは「今日は成功とか失敗とかじゃなくやってきたことの確認」と説明した。昨季まで広島のリーグ2連覇を支えた“走塁のスペシャリスト”は、盗塁に重要な要素を「スタートを切る勇気」と説く。昨季のヤクルトの「盗塁企画数・成功数」は「76・50」で、広島の「152・112」の半数以下。まずは選手の勇気を後押しすべく、塁間の走路の確認からリードの大きさなど基本から再徹底している考え。「今日は指示は出さなかったけどリードを大きくしたりしていた。ある程度、成果は出ているんじゃないか」と表情は明るい。

 練習の最後は、同じく広島から加入した石井琢打撃コーチらの主導で、広島伝統の野手が並んでのロングティーを約250球打ち込んだ。王者の考えを導入しながら、走攻守で変革を遂げる。【浜本卓也】