日本ハムのドラフト2位・西村天裕(たかひろ)投手(24=NTT東日本)が、本拠地初マウンドで好投した。ロッテとのオープン戦(札幌ドーム)に3番手で登板。最速152キロの直球で強気に攻め、3者凡退でアピールした。今年のルーキーで唯一の社会人出身。即戦力と期待されながら、2月の春季キャンプは2軍スタートだった。悔しさをバネに、開幕1軍を目指す。

 なりふり構わずに、右腕を振った。7回、西村は3番手でマウンドへ。「捕手のミットしか見えなかった」と、アドレナリンは全開だった。菅野を右飛に抑え、続く三木への初球。調子を見るバロメーターの1つである帽子が、マウンドに落ちる。外角高めに外れたボール球で空振りを奪った。球速は、この日最速の152キロ。本拠地デビュー戦で、名刺代わりの1球となった。

 直球は高めに上ずったが、目いっぱいの気迫でカバーした。「速さよりもボールの質を意識して投げられた」。三木を遊ゴロに仕留め、迎えたドラフト1位安田には全球直球。3球目、外角低めへの151キロで左飛に打ち取った。この日登板した5投手で唯一の3者凡退。アピールに成功し「集中していたので気持ちよく投げられた。変な緊張もあったんですが、自分の投球が出来て良かった」と笑みをこぼした。

 ルーキーただ1人の社会人ながら、2月の春季キャンプは2軍スタートだった。「正直、悔しさはあった」という。プロ初実戦となった2月17日紅白戦、初の対外試合だった同21日韓国サムスン戦ともに、1回を0封。「(ボールの)質では他のルーキーに負けません」と、確かな武器で勝負してきた。栗山監督は「変化球も悪くない。次に生かしてくれると思う」と期待する。

 目指すのは、もちろん「開幕1軍」。競争激しい中継ぎ陣に加わるため、今後は登板する1戦1戦、変化球も交えながら、ピッチングの質を上げ、幅を広げていく。「1軍に、しがみついていきたい」。愛称「ゴリ」は、荒々しく、挑み続ける。【田中彩友美】