開幕へ、時計の針を動かした。米メジャーのカブスから加入した巨人上原浩治投手(42)が10日、川崎市のジャイアンツ球場で2軍練習に合流。10年ぶりの巨人のユニホーム姿で「上原タイム」を見せつけた。

 午前10時。ブルペンに入ると、途切れることなく捕手のミットから捕球音が響いた。直球、スライダー、スプリット。全39球を投げ終えたのは同10時7分。1球平均10秒7と短い投球間隔でNPB球の感触を確かめた。「あれが自分のリズムです。特に速くしたという意識はない」と話したが、受けた柳ブルペン捕手は「10年前よりもっとテンポが速かった。他が1球投げる間に2球投げていた」と証言した。

 頭の中には開幕までのタイムリミットが逆算されている。投球後、上原は「時間があまりないというのが気になります」と言った。体の状態は万全。しかし、NPB球や日本のマウンドへの適応、打者に対する投球勘が不足しているとする。例年ならば実戦登板をしているが、今日11日のフリー打撃で対打者への初登板予定。「投げてみて課題が出ると思うので、そこをちょっとずつクリアしていけたらいい」と経験を生かして仕上げるつもりだ。

 時間の流れもかみしめた。10年ぶりに訪れたジャイアンツ球場に「家からここまで来る道のりで景色が全然違っていた。ここも、昔あった室内練習場がなかった」と懐かしさと新鮮さが入り交じった。30日の開幕まであと19日。「早く1軍に合流したいなと。そうできるような体作りをしたい」。勝利の方程式として、ファンを沸かせる瞬間が刻々と迫る。【島根純】