待ちわびた背番号7の一打に、スタンドが揺れた。6回1死走者なし。西武松井は2球目の145キロを振り抜いた。右翼線への二塁打は、古巣復帰後のメットライフドーム初安打。「真っすぐ系にしっかり入っていけるように。早いカウントから振れる球は振っていこうと思った」。一挙3得点の起点となる好球必打。球場は大歓声に包まれた。

 西武のユニホームで本拠地戦に臨むのは03年9月27日近鉄戦以来、5286日ぶり。「ビジターで来るのとホームでは、やっぱり景色は違いました」とうなずいた。スタメン発表時から大声援の渦。「オープン戦とはいえ、うれしいですね。本当にありがたいです」と感謝した。

 反省も忘れなかった。3回1死三塁で迎えた第1打席は空振り三振。直前の炭谷が右打ちの二ゴロで広げた得点機だった。「チャンスを作ってくれて、本当はあそこで打てればベストなんですが…」と悔しさをにじませた。

 コーチ兼任も軸足は選手。キャンプ中は佐藤外野守備走塁コーチと、外野守備を基本動作から再確認した。打球の見方、捕球の仕方、足の運び-。試合に出るために貪欲に体を追い込んだ。開幕まであと11日。「チャンスを頂ければ積極的にやっていきたい」。ファンの期待を背に、42歳は、がむしゃらに前へ進む。【佐竹実】