主砲の開花弾が、新シーズンの幕開けを告げた。DeNA筒香嘉智外野手(26)が、本拠地・横浜スタジアムでの今季初陣で、オープン戦1号ソロを含む3安打を放ち、最終戦を締めた。新フォームに取り組み、ここまで不発だったが直前で、しっかりと間に合わせ開幕を迎える。桜木町駅で行われた出陣式では、あらためて20年ぶりとなる「優勝」を宣言した。

 映えわたる緑色の芝生を飛び越えて、青い右翼スタンドに吸い込まれた。筒香が開幕前のオープン戦、本拠地初開催でアーチを描いた。フルカウントから内角直球を運んだ。ここまで不発だった主砲は「感触はあまりよくなかったですね。ホームランは別にそこまで求めていない」と涼しい顔。本人とは反対に、一振りで歓喜にあふれる横浜スタジアム。今年もこの男の1発が、熱気を帯びさせる。

 真っ青のスタンドと、緑色の芝生のコントラストが、新ハマスタを彩った。このオフ中、スタンドは全座席がチームカラーの青に改修。劣化していたグラウンドの人工芝は、新しく張り替えた。ベンチは最前列の選手が立つメジャースタイルに拡張。「広くてストレスがなくなりました」と、ど真ん中にドッシリ陣取って、ハッパを掛けた。オープン戦ながら満員札止め。シーズンさながらの雰囲気に「ホームはやっぱりいいな」。開幕5試合をホームでやれるアドバンテージの大きさをかみしめた。

 改修工事にともない、ビジター行脚が続いたここまで、ただやみくもに試合をこなしていたわけではない。力感のない棒立ちの構えから、フルスイングする新フォームに取り組み「順調です」と言い続けたが、数字はついてこなかった。試合前時点で打率2割を切った。1発がない中で、18日京セラドーム大阪でのオリックス戦前、1人タクシーで球場入りして早出でバットを振った。膝を少し下げてマイナーチェンジ。猛打賞という結果に結びつけても「完璧に満足できるかというと、そうではない」と向上心は尽きない。

 試合後、少し気の早い桜が咲く桜木町駅前での出陣式で「優勝に向かって全力でやる」と約5500人のファンに約束した。「心と体の充実。その一致が去年とは全然違う」。筒香が優勝へ導く18年シーズンが、幕を開ける。【栗田成芳】