球団史上最年少で開幕投手に抜てきされた中日小笠原慎之介投手(20)が、悔しい黒星を喫した。20歳173日での大役だったが、6回8安打5失点で勝利をつかめず今季初黒星。だが、森繁和監督(63)の期待を背負ってのマウンドで、昇竜には欠かせない存在。この経験を糧に、チームをけん引してくれるはずだ。

 小笠原がこん身の147キロ直球で、シーズンの幕を開けた。2年ぶりの開幕白星発進の期待を背負っていた。5回までは2失点と粘っていたが、1点のリードの6回裏、先頭エルドレッドに痛恨の同点1号を許す。昨季4被弾した小笠原にとって天敵。直後の安部に安打を許し、1死二、三塁からの102球目。田中に左越え二塁打を許し、勝ち越されてしまった。

 小笠原は淡々と振り返った。「試合を作ろうと登板したが、5点取られ申し訳ない。次にはしっかり修正したい。(直球が良かったが)打たれたら終わりです」。丸や会沢から奪った三振はともに146キロが低めに決まっていた。開幕マスクをかぶった松井雅は「直球は走っていた。(エルドレッドに打たれたのは)悪い球じゃなかった。その後を出さないようしないと」と、安部に安易に許した安打を反省した。

 ピンチで田中を迎える場面。ブルペンで又吉ら中継ぎの準備は終わっていたが、続投が告げられた。近藤投手コーチは「結果は結果で本人が反省してくれればいい。一気に崩れることもなかった。開幕の緊張の中でいい経験にして欲しい」。森監督も「本人にもショックだろうし、チームにとってもショックになる…。(でも小笠原にとっては)いい経験じゃないかな」と、小笠原を気遣いながら、敗者の弁を口にした。

 この日の敗戦は、今季をけん引して欲しい左腕に経験を積ませたい首脳陣の親心だった。20歳173日の球団史上最年少開幕投手として歴史に名を刻んだ小笠原が、次に刻むのは今季1勝目だ。【伊東大介】