3年目の中日小笠原慎之介投手(20)が今季初勝利を挙げた。1回に阪神糸井に逆転2ランを浴びたが、7回を3安打2失点と粘投し白星を手に入れた。

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 北谷キャンプで小笠原を追いかけていると、何度か妙な行動に気付いた。投手小屋から少しだけ顔を出し、しばらく何かをじっと見ている。視線の先にはメジャー51勝右腕の新外国人ジー。あるときは松坂がいた。こっそりと、彼らの練習を観察していた。

 経験豊富な2人は独自の練習方法を取り入れている。メジャーの野球にも強い関心がある小笠原は貪欲に聞きに行った。球団関係者が「ほかの若い選手と意識が全然違う」と脱帽するほど向上心が強い。

 とくに松坂の加入は心を強く刺激されている。同じ神奈川で甲子園を制した。投げ方が似ていると言われたこともあり、あこがれの存在。2年前の交流戦中には、当時の友利コーチの仲介で会食も実現した。今年からチームメートになり、一番喜んでいたのも小笠原だった。

 スポンジのように吸収して成長を続ける20歳。この日の投球にも、硬軟織り交ぜたオトナの匂いを感じた。【遊軍=柏原誠】