阪神は、瀬戸際での奇策が実らなかった。１点を追う９回１死三塁の同点機で金本監督は代走に俊足植田を起用した。バントのうまい梅野が打席に立つ。田島が投げた初球の低めフォークにセーフティースクイズを試みるがファウル。２、３球目もバントの構えで揺さぶり、ボール球を誘う。

　運命の分かれ道は４球目だった。真っすぐは、もっともバット操作が難しいインハイへ。またも、セーフティースクイズを敢行したが三塁寄りへ。田島が本塁にトスしやすい場所に転がってしまい、植田が快足を飛ばしても本塁でタッチアウト。一塁転送で梅野もアウトになり、あっけない幕切れで１歩及ばなかった。

　金本監督も思わず顔をしかめた。「普段、あれだけ決めている。去年から、セーフティースクイズを。あの場面で決めないと。そこがメンタルというか、見直していかないとね」。梅野も「１ストライクを取られて正直、あまり狙いすぎても難しい。走者が（植田）海。（投手と野手の）間に転がせれば良かったのですが」と悔しさを募らせた。

　同点の６回も無死二、三塁の絶好機で中軸が凡退。４戦連続２点止まりで打線も停滞気味だ。中日小笠原に白星も献上し、徒労感だけが残った。【酒井俊作】