松坂が勝った! 中日松坂大輔投手(37)が、06年西武時代以来、12年ぶりに日本で勝利をつかんだ。ナゴヤドームでのDeNA戦に移籍後3度目の先発。再三のピンチをしのいで6回を3安打1失点にまとめ、日米通算165勝目を挙げた。

   ◇   ◇

 大輔って本当に投げられるの? 中日の編成部国際渉外担当の友利結氏は、昨年末、松坂獲得に懐疑的な目を向けていた。ソフトバンクでの3年の空白は、無視できない懸念材料。西武ルーキー時代からの弟分、レッドソックスでは指導者として、松坂の歩みを見届けてきた。身近な存在の選手だけに、厳しく見極めようと努めた。しかし、テスト前に森繁和監督と映像を確認すると認識は一変した。1月のテスト後には「あれは普通に勝つぞ」と直感した。

 肩が回らない、シャンプーができない、顔も洗えない、これじゃ投げられるわけがない-。ちょうど1年前の春、松坂は絶望の淵にいた。「もういいんじゃない」。耳を疑うような言葉も漏れた。右肘痛で6勝に終わった西武4年目、22歳の松坂から「痛い、かゆいを言う選手になりたくない」という話を聞いたことがある。去年の松坂は、別人のように自信を失っていた。全国を駆けずり回って治療に専念した1年だった。

 昨秋に投げ込みを始められると「台湾でも韓国でもいい」と、再起動する自信を得た。もう1度投げられることの喜びを胸に「99」を背負った。「横浜高校でも、西武でも、メジャーでも味わったことのない幸せを感じている」という。2月のキャンプ中、私も勝つと直感した。【07~10年大リーグ担当=山内崇章】