西武栗山巧外野手(34)はワクワクしながら打席に向かった。2-2の4回1死一塁。「(俊足の)外崎が出てくれた。いつでも盗塁がある。ライナーを打ったら1点、入るんちゃうかな」。フルカウントからの6球目。浮いた142キロ直球を、狙い通りライナーで左翼線へ。外崎はスタートを切っており、一気に生還。決勝打の栗山は、滑り込むことなく二塁に達した。

 プロ17年目で通算309二塁打。石毛宏典氏を抜き、球団単独トップに立った。「僕らが憧れている黄金期の偉大な先輩。恐縮です。僕がたまたま二塁打を積み重ねて、こうなっただけ」と口元を引き締めた。前日に並んだ際「こんなに打ってたかな。不思議な感じ」と漏らしたが、二塁打には、こだわりがある。ホームラン打者ではないと自覚。野手の間を抜く打球に磨きをかけてきた。節目も、らしい当たりで決めた。

 自分の記録より、新しくできた後輩の活躍を喜んだ。先発の榎田に「連勝を止めたらどうしようとか、絶対考えるなよ!」と声をかけていた。「意識するな、と言って、意識させました。榎田が勝つとうれしいですね。年の差(3歳差)以上に近く感じる。あいつの方が、おっさん。ホッとする」と楽しそうだった。

 今季4度目の同一カード3連勝で、本拠地は開幕12連勝。貯金14で、2位日本ハムと5・5ゲーム差だ。早くも独走状態に入った。10年前の最後の優勝を知るヒーローは「なんとか、このまま突っ走って行きたい」。新たな黄金期の到来を予感させた。【古川真弥】