楽天今江年晶内野手(34)が、決勝打を放った。同点で迎えた7回に代打で登場すると、左中間へ適時三塁打。左足のかかと部分に痛みを抱えながら、激走を見せた。交流戦前、最後の試合をハッスルプレーでもり上げ、チームに弾みをつけた。

 今江が、苦悶(くもん)の表情を浮かべた。歯をグッと食いしばった。それでも、スピードは緩めない。二塁も回った。必死の形相で、三塁に頭から突っ込んだ。ヘルメットは衝撃で外れ、ユニホームは土だらけ。三塁側ベンチの仲間たちから、大歓声でたたえられた。「足が痛くて、ベース上で止まれないので。倒れ込むしかなかった」と自虐気味に振り返った。

 3-3の7回1死一、二塁。藤田の打席で、相手投手が先発武田から左のモイネロに代わった。そこで楽天ベンチが動いた。「代打・今江」。前日26日も代打で登場し、同じモイネロの直球を本塁打にしていた。今江は「いいイメージで打席に入れた」とチェンジアップを仕留め、左中間へ鋭い打球を飛ばした。「相手に嫌な印象を付けられたと思う」とうなずいた。

 左足かかと部分に、慢性的な痛みを抱える。状態が悪化した日には、引きずることもある。宿舎では就寝前に電気治療や、マッサージなどでケアを怠らない。それでも「試合に出たら、痛いなんて言っていられないし。やるしかない」と気合でチームの勝利に貢献した。梨田監督が「歩いている方が痛いから、ずっと走らせておこうかな」とジョークを言うほどに、貴重な勝ち越し打となった。

 25日のソフトバンク戦では、右手首付近に死球を受けた。連戦の中で、全身の痛みは計り知れない。そんな中で「試合に出られることがうれしいし、去年までは故障で満足に活躍出来ていないので」。そんな気持ちがハッスルプレーにつながっている。

 チームは交流戦前、最後の試合を勝利で飾った。明日29日からは交流戦が始まる。最下位からの逆襲に、今江の気迫が不可欠だ。【栗田尚樹】