交流戦の防御率が再び6点台となった。セ・リーグの首位に立つ広島が交流戦で苦戦する最大の要因である。

 若い中村祐は日本ハム打線におびえているに映った。大量失点は不必要な四球が大きく響いた。先週6試合は、チームとして四球が少なかったものの大量失点を喫した。22歳には積極的に振るパ・リーグ打者の残像があったのだろうか。「コースに投げ切れなければ」という思いが腕の振りを弱め、球威低下につながった。悪循環である。

 広島投手陣は開き直り方を知らない。開き直って大胆に攻めた方が腕を振れて、コースにも決まるものだ。先週は「開き直る」が大ざっぱな制球となって痛打を浴び、この日は開き直ることすらできなかった。選手の経験値もあるだろうが、指導者が導いてあげることも必要だろう。

 まだ残り90試合もある。首位にあぐらをかいていてはいけない。いい意味で開き直ることを学ばなければ、ひとつのきっかけで暗転する怖さを思い知らされるかもしれない。【広瀬叔功=日刊スポーツ評論家】