交流戦最高峰の投げ合いは、西武菊池雄星投手(26)に軍配が上がった。巨人1回戦(東京ドーム)に先発した左腕は、5回5失点KOされた相手先発の菅野智之投手(28)を尻目に堂々の投球。7回を被安打2、無失点で無傷の7勝目を挙げた。

 日本最高峰の投げ合いに期待感いっぱいの東京ドームの空気を、西武秋山翔吾外野手(30)が一振りで一変させた。ヒリヒリとした緊張感漂う1回。148キロ、148キロで2ボールとなった直後の3球目。外角高めにボール気味に入った149キロを逆方向に運んだ。「いいピッチャーなので、いい準備をして打席に入りました。早めに勝負しないと、いろいろなボールが勝負球になる」。阪神西岡の最多記録に1本差に迫る交流戦4本目の先頭打者アーチで、流れを呼び込んだ。

 シーズン216安打の日本記録を持つ希代のヒットメーカーも、巨人菅野は“天敵”だった。昨年までの通算打率は、13打数1安打。13年5月18日に安打を打って以来、1犠打を挟み12打席連続凡退だった。5年、13打席ぶりの安打が、値千金の10号先制ソロになった。

 本塁打だけでは終わらない。4回2死一、二塁からは、内角高めのスライダーを右翼線に運んだ。「1打席目でスライダーが来なかったので、勝負球で、どこかで来ると思いました。自信のあるボールが来る気がした」と配球も読み切った。侍ジャパンの稲葉監督が視察する前で、菅野から2安打2打点と抜群の存在感でチームを引っ張った。

 6回の第4打席に入る前は、場内アナウンスで「源田」と間違ってコールされた。左翼席に陣取った西武ファンから大ブーイング。侍ジャパンの常連で、シーズン安打の日本記録も持っているのに…。秋山は「人間だし、かんだりするのは調子悪い時もあると思います」と気遣ってから続けた。「まだセ・リーグでは秋山という選手の認知度が低いんだと思いました。1番という打順を見て、目の前を通っても、ですから。もうちょっと頑張らないと」と笑いを誘い、ちゃめっ気たっぷりに締めくくった。【前田祐輔】