交流戦最高峰の投げ合いは、西武菊池雄星投手(26)に軍配が上がった。巨人1回戦(東京ドーム)に先発した左腕は、5回5失点KOされた相手先発の菅野智之投手(28)を尻目に堂々の投球。7回を被安打2、無失点で無傷の7勝目を挙げた。昨年沢村賞を争った最高峰のマッチアップは、一方的な形で決着。エースで敗れた巨人は借金5で最下位に転落した。

 ギアが入った。1-0の2回。菊池は2四球を出し、2死二、三塁を招いた。迎えるは巨人坂本勇。初球、最速だった150キロで見逃しストライクを奪う。カウント1-1から149キロのつり球で視線を上げ、次のチェンジアップで中飛に打ち取った。真ん中に入ったが、直前の1球が効いた。「直球はあまり走ってなかった」。それでも、ここぞの場面で信じたのは直球だった。

 菅野との4年ぶりの投げ合いが決まると「日本一の投手。投げ合える喜びがあります」と素直に口にした。ただ、こうも言った。

 「絶対、勝ちます」

 菊池なりの強烈な自負がある。「菅野さんと僕はタイプが違うと思ってます。僕は器用じゃない。変化球を覚えるのも時間がかかる」。150キロ超の直球を持ちながら、ここぞの場面では多彩な変化球を駆使して打者を抑えにかかる菅野。対する自分は、ここ一番は直球にこだわってきた。坂本勇には5回も3球直球を並べ遊ゴロ。初回の右飛も直球だった。敵の1番打者を力で封じ、流れを渡さなかった。

 4年前は、ともに勝ち負けつかず。今回は菅野より長く仁王立ちした。「個人的な対戦は意識しませんでした。粘り強く、の方が強かったです」と自分に集中した。打者としては2度対戦し「手元でキュッとくる。変化球が、こんなに曲がる。すごい」と驚いた。「お客さんがいっぱい。野球選手、冥利(みょうり)に尽きます。その中でチームが勝った。一番の喜びです」。超のつく本格派が好敵手との投げ合いを制し、子供の頃に憧れた東京ドームで初勝利。エースとして、チームには4連勝と交流戦同率首位をもたらした。【古川真弥】